リシャールの名詩『日本国に告ぐ』

 
フランスの詩人リシャールの詩『日本国に告ぐ』が書かれた当時とは
 
1914年(大正3年)~1918年(大正7年第一次世界大戦
1917年(大正6年ロシア革命三月革命・十一月革命)
1919年(大正8年)パリ講和条約
 
このユーチューブは、そのパリ講和条約でのことです。
この当時の欧米各国は植民地を持ち、例えば英国の場合、国家予算の半分は植民地からの搾取でしたから、そのすさまじきこと、想像出来ますね。植民地を独立させようものなら国内で暴動が起きたでしょう。


(参考)人種差別撤廃に全力を注いだ戦前の日本.mp4


反して日本の植民地(台湾・満州・朝鮮)政策というと世界で唯一自国の金を持ち出して、植民地の学校建設・農地の開墾・インフラ整備・工業力の発展を図りました。
 
大東亜戦争(太平洋戦争)を侵略戦争として日本は極悪非道なことをしてきたと日教組の教師から習い、いまだにそうと仰る方がいますが、戦後、欧米の植民地だったアジア各国が独立国となったのを見れば、この大東亜戦争とは欧米からのアジアの解放にあったということが理解できると思います。
 
然し、民主党野田政権は、尖閣問題のドサクサに紛れて我等日本民族を隷属しようとする『人権救済法案閣議決定したのですから驚きです。
 
(参考)私のブログ記事『人権救済法案とは』 
 
【人権救済法案を閣議決定 2012.9.19 11:17 msn産経
政府は19日、新たな人権侵害救済機関「人権委員会」を法務省の外局に新設する人権救済機関設置法案(人権救済法案)を閣議決定した。今秋の臨時国会への提出を目指す。ただ、同法案には「人権侵害の定義が曖昧で、拡大解釈により言論統制につながりかねない」との批判が政府・民主党内でも強く、成立の見通しは立っていない。(以下省略)
 
                        ◆
 
さて本題へ
 
以下、前回に引き続き細川一彦氏の随筆です。
 
日本の心  世界の声 その3
リシャールの名詩『日本国に告ぐ』
 
 ポール・リシャールは、フランスの詩人、弁護士、キリスト教の牧師でした。彼の生涯は、東西の精神文化の交流と人種差別撤廃の活動に捧げられました。
 
 20世紀初頭、西欧文明に行き詰まりを感じていたリシャールは、西欧文明の欠点を克服するには東洋の精神に学ぶしかないと考えました。そしてすべての事業をなげうって、アジアへの旅に出ました。
 
 大正5年(1916)に日本を訪れた彼は、約4年間の滞在期間に、日本の愛国者たちと交友を結び、彼らに多大な影響を与えました。
 
 大正8年に、第1次世界大戦後のパリ講和条約で日本が人種差別撤廃案を提案しました。日本国内では人種差別撤廃を求める期成大会が行われるなどの動きが高まりました。
 
これに感激したリシャールは、大会の決議文をフランス語に翻訳して、各国の指導者に送るなど、人種差別撤廃の実現に努めました。しかし講和会議では、日本の提案は米英により不当にも否決されてしまいました。
 
 リシャールは大正9年に日本を去り、その後は長くインドに居住しました。彼は、西洋人でありながら、インドの宗教哲学者オロビンド・ゴーシュの弟子となり、東洋の精神的伝統の実践・伝道に努めたのです。
 
 リシャールが滞日時代に書いた『告日本国』(大正6年、1917)という詩があります。この詩は日本の世界史的使命と日本人への期待を歌い、今日も多くの人の魂をゆさぶり続けています。
 
                              ☆
 
「曙の児(こら)よ、海原の児等よ
 
花と焔との国、力と美との国の児等よ
聴け、涯(はて)しなき海の諸々の波が
日出づる諸子の島々を讃(ほめ)ふる栄誉の歌を
諸子の国に七つの栄誉あり
故にまた七つの大業あり
 
さらば聴け、其の七つの栄誉と七つの使命とを
独り自由を失はざりし亜細亜(アジア)の唯一の民よ
貴国こそ亜細亜に自由を与ふべきものなれ
(かっ)て他国に隷属せざりし世界の唯一の民よ
 
一切の世界の隷属の民のために起つは貴国の任なり
曾て滅びざりし唯一の民よ
一切の人類幸福の敵を亡ぼすは貴国の使命なり
 
新しき科学と旧(ふる)き知慧と、欧羅巴(ヨーロッパ)の思想と
亜細亜の思想とを自己の衷(うち)に統一せる唯一の民よ
此等二つの世界、来るべき世の此等両部を統合するは貴国の任なり
流血の跡なき宗教を有てる唯一の民よ
 
一切の神々を統一して更に神聖なる真理を発揮するは貴国なる可し
建国以来、一系の天皇、永遠に亘る一人の天皇を奉戴せる唯一の民よ
貴国は地上の万国に向かって、人は皆な一天の子にして、天を永遠
の君主とする一個の帝国を建設すべきことを教へんが為に生れたり
 
万国に優りて統一ある民よ
貴国は来るべき一切の統一に貢献せん為に生れ
また貴国は戦士なれば、人類の平和を促さんが為に生れたり
曙の児等よ、海原の児等よ
斯く如きは、花と焔との国なる貴国の
七つの栄誉と七つの大業となり」(大川周明訳)
 
                              ☆
 
 このように歌うリシャールは、わが国の国柄を高く評価しています。そして、デモクラシーについて、次のような主旨のことを述べています。
 
「現在のデモクラシーは、議会主義的、金権的個人主義である。真のデモクラシーとは、選挙によって金権政治を実現することではなく、数によって匿名の専制政治を行うことでもない。それは制度ではなく、態度である。個人の力と集団の偉大な精神が、個人の魂と集団の偉大な力が、つまり、個と全体が相互に尊敬しあうことが、真のデモクラシーなのである」と。
 
そして、「日本人は、君権と民権を調和統一した理想国家を実現せよ」とリシャールは言います。
 
「そもそも君権といい民権といい、その源は天に発する。君主は、天の統一的方面を、人民は天の差別的方面を、地上に代表するものである。
 
従って、本来両者の間には何ら矛盾衝突があるはずがなく、真のデモクラシーとは、真の天皇主義の別名であるはずである。君民は本来一体である。
 
君主にとって、人民が『大御宝(おおみたから)』であるとすれば、人民にとっても君主は『大御宝』である。これは相補い一体となっているものである」と。
 
 ルソーの国から来た賢者リシャールは、我が国の伝統に真のデモクラシーを見出し、日本人に理想国家実現を期待したのです。私たち日本人は、自国の国柄を理解して日本の使命を自覚し、平和な世界の建設に貢献したいものです。(1)  
 
 
 
(1)リシャールの説く「真のデモクラシー」については、次の拙稿をご参照下さい。
 
 
(参考)これまで掲載した『日本の心  世界の声』
 その1
 『宣教師たちが称えた日本人の美徳』 
 その2
 『日本の「魂」を伝えた小泉八雲