仕掛けられていた罠(わな)

 
 
イメージ 3
 
 
   私の履歴書371 
 
正月早々の転勤話で、年始が転勤挨拶も兼ねることとなりました。 
 
転勤の正式挨拶は、後任者と後日再訪することにして。
.
神戸部長と一緒にLL社札幌支店次長と「すすきの」で会食した夜のこと。
梯子(はしご)をし、次長と別れたのが日付の変わった午前0時半。
 
眠気を催す私は「帰る」と言うのに、神戸部長は「もう一軒!」と。
いつもならタクシーに直ぐ乗るのだが、転勤の事もあり彼に妥協。
 
ビル階段を上った二階は、来るのが三回目のスナック風居酒屋。
カウンター席、周りにテーブル席、更に小上(こあ)がりの畳の座席がある
 
この時間帯では着物姿のビア樽ママとカウンターにバーテンが一人。
客はいなかった。
 
直ぐに帰るつもり故、入り口に近いカウンターに二人で座る。
「ママさん、酔い醒(さ)ましを!」とオーダーした神戸部長。
 
ママは、レモンスカッシュのような飲み物をタンブラーで持ってくる。
成る程、これが酔い醒ましか。私、それを一気に飲む。
 
間も無く、激しい睡魔に襲われる。
何故か眼を開けられない。
 
カウンターに顔を埋める。
うつ伏せになりながら、鼾(いびき)をかく自分が分かる。
 
「水無瀬所長、ここで寝るよりも、畳で寝たら?」
「それじゃ、ちょっとだけ眠るよ」
小上がりにたどり着き、そこの座敷テーブルにうつ伏せになる。
 
 
ふと目が覚める。
どの位眠っていたのだろうか。
 
テーブルにうつ伏せだったのに、何故か畳の上に横になっている。
ビア樽ママが、私のズボンのベルトを外し、ズボンをずり下げる。
 
「何をするのか?」と思うものの、口も身体も動かせない。
と言っても、鼻は依然と鼾(いびき)をかいたまま。
 
やがて、ブリーフは下げられ、私の黒い物は露(あらわ)になる。
「あらあら、おとなしくしているわ」とはビア樽ママの声。
 
向こうから神戸部長の声。
「ママ! 早く写真撮って!」
 
そうか! そうだったのか!
前に話では聞いた事がある。
 
ここは、昔からLL社札幌支店の連中の行きつけの店。
然もLL社札幌支店の秘密の行事が行われる場所。
注)神戸部長はLL社OB。
 
イメージ 1
 
 
           ★  
 
LL社本社辞令で本州から札幌支店に転勤してきた管理職の災難は、札幌在任中、この店に連れてこられた時に必ず起きる。
 
狙われた日、小上りで酩酊させられる。
潰れた彼は寝てしまう。
 
彼のズボンとブリーフは下げられ、ナマコは露出。その写真を撮られる。
無論、本人は撮られたことを知らない。
 
2~3年後、辞令で彼は東京本社に帰る。
後、彼が権限ある地位に就いたとき、例の写真を彼本人にこっそりと見せる。
場合によっては、自宅に写真を郵送する。
 
これが、札幌支店の無茶な要望でも東京本社ですんなり認められる仕掛け。
 
          ★
 
そうか、そうだったのか!
やられた! 迂闊(うかつ)だった!
 
ひょっとして、睡眠薬があのカクテルに入っていたのか?
意識はあるが、金縛り状態。
 
『こんな奴等にやられて堪(たま)るか!』
渾身の力をふりしぼり唸(うな)った。
 
と、馬鹿でかい鼾(いびき)の後、右手が動いた。
ビア樽ママが身を引く。
 
私、ズボンとブリーフを無意識にずり上げる。
トドのように這(は)って、小上がりからテーブル席に脚を落とす。
 
普通の泥酔とは違う。
腰が立たない。
 
『こんな奴等になめられて堪(たま)るか!』
吐息で肺から気管支に力を入れ精神統一を図る。
 
二度目の挑戦で立ち上がる。
グラッ!グラッ!と左右に身体が揺れる。
ふらつく都度、運動神経が回復してくる。
 
カウンターに逃げたビア樽ママ。
驚く神戸部長。
 
私、テーブル席の木製椅子を持ち上げ床に投げつける。
110番せい!」と怒鳴りながら。
 
シーン!
 
私 「これでもか! 110番せんかい!」
そこかしこの木製椅子を持ち上げ投げる。
 
その都度椅子は大きくバウンドし、床を転げる。
カウンターの中に投げつけてやろうと一瞬思うも自制する。
 
「わしゃ、帰る!」
外に出ると雪は上っていましたね。
 
 
 
     イメージ 2
 
 
翌朝、神戸部長は、神妙な顔をして私に頭を下げてきました。
「昨夜は大変失礼なことをしてしまいました」
「失礼と思うならば、最初からしないことだね」
「申し訳ありません。この通りです」
「昨夜の事は、酒の席の事としておこう」
「ありがとうございます」
 
私を酩酊に陥らせた飲み物とは?
ポカリスエットウォッカをシェイクしたものだという。
 
成る程、そうか! 酔い醒ましとは全く逆の飲み物。
ポカリで一気にアルコールが腸から吸収され、 身体全体回ったのか。
 
それにしても、危なかった!
将来、写真をばら撒くぞ!と脅しをかけられるリスクを避けれた。
 
 
尚、後日、聞くところによると、この件に関しても、私が札幌着任時の血判状に関しても、北海道の労働組合闘争で編み出された手法のようでした。
 
然し、当時1兆円企業のLL社の役員や部長クラスで、何人があのビア樽ママにズボンを脱がされ、もてあそばれている写真を撮られたことやら。
 
 
 
 
参考)血判状に関しての私のブログ記事
 
注)画像は、アローズ氏の壁紙を使用しています。 http://tokyo.gonna.jp