函館の夜は素晴らしかったが、翌朝説教
私の履歴書・248
正月15日までに、出来るだけ挨拶訪問先を増やしておかなきゃ。
遠征第一弾は、函館。
1月19日(月)札幌発。
例のトヨタ1800ccバンで。
横に死神の神戸部長を乗せて。
中山峠の頂上付近の右側のドライブインで休憩。
羊蹄山の上部はすっぽり雲の中。
ドライブインを出ると直ぐになだらかな下り坂が数百メートル。
次は下りの大きな左カーブ。
この左カーブは、道路の外側が高くなっていない。
まさか、平坦とは。そんなバカな!
タイヤのスパイクは磨耗しているのに、ましてや後輪駆動のバン。
車の尻が大きく振られ、対向の右車線に。
車は真横になりながら、対向車線の上をゆっくりと弧を描く。
対向車が来ていたら、真横にドスンでしたね。
逆ハンドルでスピンを防いで、辛うじてカーブをクリアー。
そこからが下りの長い直線。
この直線の終わりしなは、雪の深い轍(わだち)。
ギアを三段に落とし、エンジンブレーキで走る。
一瞬、車輪はわだちを踏み損ねる。
車は、一旦左の路肩の除雪した1m程の高さの雪の壁に当る。
とたん、くるりと一回転。サーカスの曲芸のような。
このくるりと回転するのは、私だけじゃなかったですね。
途中、対向車二台がくるりと回っていましたから。
ルスツ高原を抜け、豊浦から内浦湾沿いの国道5号線を南下。
雪は激しく降ってきましたね。
降る雪の間から対向車がのろのろやって来ます。
目前に迫った時、神戸部長 「あれは、うちの社員の佐藤(仮称)の車だ」
数日間も髭を剃っていない顔だから分かったそうな。
手を振って停めました。
この男が、1月5日の会議に出席しなかった社員。
我が函館出張所のたった一人の社員。
道端に車を寄せて話しをしました。これから瀬棚(せたな)に修理に行くそうです。
彼のぼやきを聞く。
雪道は大変。
移動時間が半端じゃない。
特に瀬棚方面は、除雪が悪い。
この気候なら、函館から片道6時間かかるとか。
大雪で瀬棚から抜けれず、瀬棚に二泊したこともあると言う。
彼と別れて八雲組合とLL社八雲営業所に挨拶訪問。
組合の小母さまも、営業所の事務員さんも愛想が良い。
夕方、辛うじてLL社函館営業所着。
流石函館。降る雪の粒の大きさが札幌と全く違う。
それに湿っていて、東北の雪質とほぼ同じ。
大雪でした。
LL社函館営業所の所長の雑談での一言。「私の甥っこが、昨年まで北海道ウズマサにお世話になっていたのですよ」
ビクッ!
これはまずい。
12月、子会社が解散。全員解雇。
再雇用したメンバーに、その甥は入っていなかったのか。
その夜の会席を約して一旦宿舎へ。
そこはLL社の宿泊所で、名称は『巴稜(はりょう )荘』。
一泊朝食付きで四千円弱。
風呂は温泉。
ここに荷物と車を置いて、ネオンチカチカの夜の街へ。
宿舎の巴稜荘を出る時に、しっかりと言われた言葉。
寮長 「門限は11時ですから厳守して下さい」
神戸部長 「寮長!お任せ下さい」
LL社函館の六名と合流。居酒屋へ。
居酒屋から、きれいなお姉様方のいる店を梯子。
あっと言う間に11時。LL社の課長曰く。
「門限はご心配なく!私が巴稜の寮長に電話をしておきますから」
タクシーで巴稜に帰ったのが午前1時半。
入り口には鍵。
雪はドンドン降る。
頭に積もる。
呼び鈴を鳴らしてドアを開けてもらう。
寮長は、寝巻き姿に寝起きの不機嫌な顔。
翌朝、食堂に行くと、調理人兼務の寮長。
「あのね、私が夜に鍵をかけるのは、もしもこの寮に外部から誰かが侵入し、事件にでもなったら、私が責任をとらなきゃならないからですよ」
朝食中、神戸部長と私は、延々30分、しっぽりと説教されました。
注)函館の夜景は、PHOTO DREAM 武内氏の画像。 http://www.photodream.org/