札幌で採用した女性事務員とは
前回のあらすじ)
棺桶車に死神を乗せて札幌周辺の挨拶回り。
他方、女性事務員募集を就職情報誌に掲載。
予想に反して、履歴書は来るわ!来るわ!
私の履歴書・243
さて、社員(女子事務員)募集で郵送されてきた126通の履歴書を開封。
驚きました。
素晴らしい若き女性がこの札幌にいる!
一人二人ではありません。
開封した126通のほぼ半分がそうなのです。
余談ですが、
四年後、本社に帰り、その後十年間、毎年、東京ビックサイトで開催される自社の展示コーナーのナレーターと受付案内嬢を選びました。
イベントコンパニオン派遣会社三社から渡される最新アルバム。
毎年、三社合計で登録されている数百人の女性の写真から三人~五人を選択。
これらの女性達より、札幌で応募してきた数十人の女性の方が、遙かに美しく、然も知性的でしたね。札幌とは、凄いところだとつくづく感心しましたね。
それにしても不思議でしたね。
何故、こんなに応募が来るのか。
広告に書いた給料は、本社給与規定の額より遙かに少ない。
実は、当時、再雇用した各社員の給料は、解散した子会社の額を踏襲したもの。
新規雇用の事務員の場合も、これに準じた額。
そうしないと、再雇用した社員達の給与よりも高額になってしまう。
全く全く不思議でしたね。
応募した人の多くは、事前に社屋を見にきたはず。
古い木造二階建てのボロ社屋。
かっこうが良いはずはない。
先ず、126通を四つに分けました。
分類1)美しく知性的な女性の履歴書
分類2)資格が六個以上の履歴書
分類3)資格が一つ、又は無い履歴書
分類4)上記、何れにも属さない残りの履歴書
そして、この履歴書を分類毎、二日間交互に見比べました。
誰しも、私が分類1)の中から選択すると思ったでしょうね。
眺めていた時間が最も多かったのが、分類1)の履歴書でしたから。
豈(あ)に図らんや!
2月28日(土)面接したのは、分類4)の中から。それもたったニ名。
それと、神戸部長の依頼でLL社管理職の十九歳のお嬢さんの計三名のみ。
この十九歳のお嬢さん、かなりの美人。
でも、面接時間午前十時に15分遅れてきましたから除外。
次に午後一時に面接をしたのが鎌田あゆみ(仮称)さん。二十歳。
今春、地元の女子短大を卒業予定のお嬢さん。
午後三時面接が斉藤由紀(仮称)さん。
採用したのが面接した分類4)の一名。
名前は、斉藤由紀(仮称)さん。
年齢 24歳。
前職 地元大手銀行行員
出身 根室市
容姿 色白・小柄・顔の形は四角っぽい・目鼻口は小作り
何故に分類4)から選んだのか。
先ずは、分類1)の美し過ぎる女性の場合、社内での色恋沙汰になりやすい。
東京支店時代、銀座松屋百貨店の洋子さんの事が思い出されました。
不倫騒動で前の会社を辞め、今度も不倫騒動を起した彼女。
参照)私の履歴書133~
美しい女性を採用したら、札幌でも似たようなケースが起きるかも。
と同時に、ひょいと思いましたね。
子会社時代の争議の原因は、美しい砂子事務員にあったのではと。
一階のメンテナンス部署と二階の営業部署は犬猿の仲だった。
子会社の解散時に全員を解雇。再雇用の人選を山川課長がしたはず。
本来ならば、メンテナンス部署所属の二名の女子事務員の中から選んだはず。
それが何故に敵愾心を抱く営業部署の砂子事務員を選んだのか?
男は、美人が身近にいると、あらぬ行動をするリスクがある。
よって、将来のトラブルを避ける意味で分類1)の女性は全てカット。
他方、分類2)もカット。
仕事は、電話・来客応対、営業事務、小口現金処理。
仕事に役立つ資格は、せいぜい三つ。
資格が多い場合、確かに魅力はあるが実践は?
何故そんなに多方面の資格が必要なのか?
分類3)のカット事由は、本人の能力に不安。
後日、仙台支店から出張できた松島課長が履歴書の束を見広げ、驚きましたね。
そして、丹念に一枚一枚見ていましたね。
彼の、これまた十年間、言い続けた言葉。
「本州では見当たらないもの凄い美人や優秀な人が沢山応募してきたのです。
その126通の応募からたったニ名だけしか面接せず。
水無瀬所長は、何を考えているのか分からんかったです。
然し、採用した事務員を使ってみて、成る程と思いました」
この件は、札幌に出張で来た専務や営業部長連中の、私への問いかけの言葉となりましたね。
「水無瀬所長! べっぴんさんを無視して、選んだのはあの女性か!」
松島課長が、本社総務部課長会議の席で話したのでした。
尚、私が由紀さんを選んだ理由は、実は、もう一つありました。