スポイラーが空中に舞い上がる

(前回のあらすじ)
新たな仕事の受注が不可能になってから、購入許可が下りる。
今更、何と言う連中!! 
にも拘らず、5段ユニック付き4tトラックを購入。

前に進むしか道は開けず。
但し、運転できるのは私だけ。

私の履歴書・215

1986年春

私一人で4tユニック車を運転し、江田島に小物を納品に行きました。
広島市→海田→坂→呉市音戸大橋倉橋島早瀬大橋能美島江田島市街に入った時です。



島の道路ですから狭い。
前方から結構なスピードで黒っぽい乗用車が突っ込んで来ます。

これはすれ違いにはぎりぎり。然し、スピードを落とす気配はありません。
私も落とさずに突っ込みました。

イメージ 1
私の運転席の右真下をその車はすれ違って行きます。
なかなかやるわい! とサイドミラーで見ていました。
.
と、その車のリア・スポイラーが5m程上空に舞い上がる!
.
ヒラヒラと舞い上がり様子は、鯉のぼりか芸術品を観ているような感動物でした。

あっはは! やっぱり当ったか! トラックの後部にスポイラーが当ったのでした。
すれ違いが終わる時に、ちょっとハンドルを左に切ったのでしょうね。

一種の事故ですからUターンして町外れの空き地に車を移動しての話し合い。
二十歳前後のいかれた兄ちゃんが四人乗っていました。

お互いに免許証を確認。ついでに車検証も確認。
見ると、車検が切れています。 さて、この決着をどうするか?

「この車は、先輩のものだから、先輩に相談してから改めて話をしよう」
と彼等は言いましたのでそういう事にして別れました。

私の判別では、事故の過失度合いは1対9。それに彼等の車は車検切れ。
若干の負担で済むはず。

然し、困ったことが三つ想定されました。

一つ目は、私の事故を社員が知ったら、このユニック車を乗ろうとする社員が出て来なくなる。

二つ目は、馬鹿でかい車が会社の駐車場を占拠していますから、太秦電機㈱広島営業所小橋所長のぼやきのボルテージは上る。

三つ目は、小橋所長は本社に「水無瀬は事故を起した」と早速御注進するだろう。
となると、この車を買うことに反対した連中にとっては「それみたことか!」で、騒ぎ立てるだろう。


江田島の町の商店に機器を納品しての帰路、倉橋島に渡る早瀬大橋の手前で彼等は私を待ち受けています。

先輩と称する怖い兄ちゃんがここで一気に方(かた)を付けるつもりか?

運転席から顔を出すと、彼等が寄って来ました。
「先輩と話をした結果、今回は何も無かったことにしよう」

事故で警察に届けた場合、車検切れがばれるからでしょうね。
ほっとしましたね。それまでのあれやこれやの思いが杞憂に終りました。


さてさて、3月の私は、週の四日はユニック車での納品作業でした。
助手席には、村主社員、又は、藤川社員を乗せて。

助手の彼等はユニックのリモコン操作を喜んでしましたね。
何しろ、今で言う任天堂wiiバーチャル版ではなく、ゲーム感覚の実体験版ですから。


そうこうしている内に、一日一日が過ぎていきます。
新たな仕事獲得の為の勝負を早くしなきゃ! 

あせりましたね。