伏見の「ばばたん」は坊主頭になりました

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京都市内でも、色々な所がありますからね。
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京都のご婦人は、怖い!!
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私の履歴書・198

もう一人の幹部候補生として入社した馬場主任は、私より一個年下。
前職は自転車メーカーの営業課長。

彼は地元京都の私大を卒業後、地元京都で就職。後、昭和48年京都では結構有名な自転車の千曲製作所(右京区西院五条)に転職。ところが十年後の昭和58年倒産。それで幹部候補生として入社してきたもの。

彼は、何か起きるたびに「ばばたんやァ~」の連発。それも大声で。
その連発の都度、近くの部署の連中も大笑い。

彼の異名は間も無く「ばばたん」となりました。
真面目な寺前課長は、彼を呼ぶのに名前を直ぐに思い出せず。
「ばばたん君、ちょっと来て!」 

但し、一年生や二年生が彼を「ばばたん」と呼ぶと怒る!
「おんどれ、誰に向かってぬかしよる!」 
ややこしい人間が一人迷い込んできた雰囲気でしたね。

               ★
注)「ばばたん」の意味

『ばば』は漢字で書くと『糞』で「ウンコ」のこと。『たご』は漢字では『担桶』と書き、かつぐ桶(おけ)の事。すなわち、『ばばたご』は「肥え桶」を意味。『ばばたご』の『ご(桶)』を省略して『ばばたん』になった。

転じて、「臭くて忌み嫌うもの」→「嫌いな事・者」や「事がうまくいかない」場合に発する。

忍者ギャグ『漫画落第忍者乱太郎』を原作とするテレビアニメ『忍たま乱太郎』(NHK教育テレビ1993年~)に登場する馬場 丹後之介(ばば たんごのすけ)の名前の由来は、糞担桶の『ばばたん』。

昨今、バイクに乗った警察官を『ババタン』というようですが、この呼称についての由来は、上記『ばばたん』からきているかも。
               ★

晩秋の事でしたね。
寺前課長のお誘いで、アフター5に課長と馬場主任に私の三人で近くの居酒屋に行きました。

色々な話になりまして、看板の午前1時。寺前課長が高槻市の私の家に泊まる事になりましたものの、馬場主任が自分の家で飲みなおそうと言い張る。

帰路の伏見区ですのでちょっと寄る事にしました。
彼の自宅は、小さな神社の境内の中。

皆、酔って這うように居間に上りコタツに入りました。
呆れ顔の奥さん。

出されたのは冷やのコップ酒。一杯のんで帰ろうとしますと馬場主任はからんできます。
「わしの家の酒が飲めんのかァー」

皆、コタツのテーブルにうつ伏せ状態。ろれつが回らない。
暫らくしてから再度私。

「わしゃ眠たい。もう帰るからタクシーを呼んでよ、ばばたん!」
「ばばたんとは何事だァ~」

横に座っていた馬場主任は、突然怒り出す。
横に座っていた私は、逃げようがない。

簡単に襟首をつかまれ倒されて上に乗られました。
93kgの彼に上に乗られ、私の両足はコタツの中のまま。
「わしを馬鹿にすんかァ~」と彼に2~3発殴られました。

仰向けになっている私が見上げる所に奥さんが立っている。
怖い目付きで私を見下ろしている。

止めに入ると思いきや「おとうさん、もっとやれ!やれ!」
私、驚愕でした。まさか!!!

寺前課長がコタツのテーブルをドォス~~ンと叩きました。
「こらぁ~! 馬場主任! 君は何をしているのだ!」

「水無瀬係長が、ワシのことをばばたんと言うものですから」
「ばばたんと呼んで何が悪いか! ばばたんじゃないか! 会社でそんな言葉を使うこと自体、ばばたんじゃないか!」と寺前課長。
「えろう、すんません」

奥さんの顔は、相変わらず目が釣りあがったまま。
国道171号線に出まして、タクシーを拾って寺前課長と帰宅しました。


翌朝、馬場主任は出社せず。
体調が悪いとかで有給休暇をとりました。二日酔いですね。


翌々朝、出社して皆がびっくり! 馬場主任は坊主頭。
フロアー全体が、クスクスの笑い。

「えろう、すんませんでした。反省の意味で頭の毛を刈りましたので堪忍しておくれやす」
そう言って、寺前課長と私の所に来て頭を深々と下げました。

1年生や二年生は「馬場主任、どうされたのですか?」
「いやぁ~、大チョンボしまして、ばばたんです」

その日のアフター5。馬場主任が我等に声をかけて来ました。
「すんません、今日は私が払いますから、居酒屋につきあってくれませんか」

その宵、いつもの居酒屋の小上がりで大林主任も含めて我等四人は大笑い。
「ばばたん」の連発でした。無論、この夜は、まともな時間でお開きにしました。

それにしても、他人の奥方は怖いですね! 怖いですね!