幹部候補生のプライド

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大阪のおっちゃん・おばちゃんの世界では、
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『その場で皆が笑えたら全てGood!』
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同席している仲間をコケにしようがお構いなし。
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他府県からきた人の心は、痛むでしょうね。

私の履歴書・197

1989年初夏

会社が、人材バンクで幹部候補生を募集。面接したのは、佐山取締役本部長
春に四人採用しまして、何故か我等のFF営業本部の私の部下として三名配属。

大林さん(仮称)に浜野さん(仮称)の二人とも体重90kg台で年上。馬場さん(仮称)は70kg台で私より一ツ下。彼等の最初の役職は主任。尚、当時の私の体重は67kg。

大林主任の前職は、日本で最大の製薬メーカーの営業次長。私より二つ年上。
彼の前職での仕事の内容を、居酒屋で一杯やりながら聞きました。

業務は、固定客ルート営業。顧客は開業医の医師達。
午後の診療の終るのを待ってからの麻雀相手が仕事。

午後の診療は何時に終るかまちまち。
拠って、昼食後から診療所で待機していなきゃならない。

麻雀が始まるのは、午後1時の時や午後4時の時も。
医師によっては、囲碁や将棋のお相手。診療中にやる時も。

他には、医師のお子さんの幼稚園の送迎。
医師の奥様のデパートでの買い物同行。冠婚葬祭のお手伝い。

業務内容は、まさに、ホスト&ヘルパーでしたね。
彼にとって辛いことは時間厳守。

出勤時間やミーテング開始時間に遅刻しないように苦労していました。
然し、一年生二年生の教育上、例外を作る訳にはいきません。


大林主任は、佐山本部長が面接をした関係上、佐山本部長と親しくしていました。
時々、アフター5に佐山本部長と居酒屋やクラブへ行っていました。

大林主任と居酒屋で飲んだときのこと。
佐山本部長のお馴染みのクラブに二人で行こうというのです。

二人とも、相当酔っぱらってからこのクラブに入って更に飲んで店を出ました。
お互い上機嫌で、隣の駐車場の中を歩いていましたら、突然大林主任が叫ぶ。

「水無瀬係長、貴様は偉そうにしている!」
「大林さん、どこが偉そうなのですか?」
「貴様のミーテングだよ。馬場君とも話しているが貴様の態度は気に食わん!」
「若手の報告を聞いて、サジェスチョン(示唆)をするのは私の義務じゃないですか」
「それが気に食わないのだ!」

いきなり殴りかかってきました。
突然の事で、かわしきれない。

その右手をとり、腰をひねって一本背負い
彼の98kgの身体は宙に舞う。

一瞬、しまった!と思いましたね。
このまま落ちる床がアスファルトじゃ、彼は骨折してしまう。

彼の身体が逆さ状態で私の頭上に来たとき、その状態で数歩前進。
ゆっくりと身体全体を落としました。

左手で彼の頭を抱え、右手で彼の腰を支えて。
靴の底から着地しましたから事無きを得ました。

ほっとしていましたら、立ち上がって再度殴りかかってきます。
今度は腰投げで、同じ様に左手は彼の頭。右手は彼の腰。

やれやれ、もうこれでかかっては来ないだろう。
アスファルトに座っている彼の手をとり、立たせた瞬間、またまた!

今度は背広の襟を掴まれて押し倒されそうになりました。
何しろ、67kg対98kg。間に合わない。

已む無く、そのまま倒れての巴投げ。
この投げでは、彼の頭部は保護出来ても、彼の臀部には手が届かない。

何しろ、私はアスファルトに仰向けの状態。
ゆっくり落ちるようにしたのですが、やはり「ドス~ン」と落ちましたね。

「イテテ! イテテ!」と彼。
私は大笑い。可笑しくて、可笑しくて。
彼、「オ~、イテ! オ~、イテ!」と言いながら立ち上がりました。

私、今度は離れて笑いこけていましたら、彼がおずおずと近づいて言いました。
「分かりました、係長。これからも宜しくお願いします」
それから、シェークハンド。

翌朝、何事も無かったように和気あいあいに朝の挨拶。
但し、彼は一言付け加えて。「係長、何故か腰が痛くて。どうしたんだろう。アハハ!」


処が、この夜の事を、後日、大林主任は馬場主任に、居酒屋で話していたのです。


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私の履歴書 30歳代編 目次(1)~(3)
http://blogs.yahoo.co.jp/minaseyori/folder/1495255.html
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