この一言が彼を追い詰めてしまった!

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不思議なものですね。
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三十年前の豪雨の時を思い出しますと、エアコンの風が雨風に聞こえるのですから。
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さて
我が食品機器営業部は、FM営業部と改称。
我々出先は、FM課と称しました。




私の履歴書・165

1978年(S53)夏、
タケちゃんマンが、私の後任として関西最強の男二人を東京に送り込んだはず。
この二人、半年経っても数字が全く上がらず。最悪の結果。

他方、広島での私の数字は、二人分の経費を賄えるもの。
そこで、東京の二人の内の一人を引き受ける事になりました。四宮君25歳です。


四宮君の広島着任が、夏の終わりごろ。
営業所は相変わらず狭く、私と同様、彼の机はありません。

私と四宮君の二人は、毎朝八時出社。事務所の前の道路の真ん中で先ず体操。
引き続き、路上で立って朝のミーテング。

終わってから、他の人の机を借りて事務処理。
それから、営業所の朝礼参加。こんな、毎朝でしたね。



或る日、大手家電メーカーS社広島支店W係長から、紹介したい人がいるとの事。

その人とは、Sクレジット(山口県)岩国営業所Y所長のお客・個人営業主の遠山氏(仮称)。
岩国の駅前ホテルのフロントでW係長・Y所長・個人営業の遠山氏・私との四人が初顔合わせ。

遠山氏の販売する物件はSクレジット岩国経由にすることで合意。
当初は、順調に遠山氏に商品を卸して、代金はSクレジット岩国から回収していました。



450万円の物件の時ですね。

遠山氏が、ある地主と結んだ売店機器五台のリース契約の申し込みをSクレジットにしました。
数日後、Sクレジットから電話でその物件を引き受けるという内諾が私にもありました。

本来なら、SクレジットからFAX送信での「契約受諾書」が正式な当該物件受諾。
でも地主が急いでいたものですから、内諾もあり、機器を納品。

処が、なかなかSクレジットから正式なFAXが来ません。
Y所長に数度電話を入れたのですが、あいまいな返事。

一ヶ月経過後、Y所長からその物件は受諾しないとの連絡。
私、怒りましたね。でも、正式な文書をFAXで受信していない故、私の負け。


遠山氏の事務所で、今後の回収について話しあいました。
無論、遠山氏に、450万円を支払うお金はありません。

この時に、FF本部のタケちゃんマンの口癖を思い出しました。
「金を払えなかったら、泥棒してでも払え!」

私、遠山氏に言いました。冗談で。
「うちの課長は、払えなかったら、泥棒をしてでも払えと言いますよ」
この一言がまさかとなるとは。思いもよらなかったですね。


その一ヵ月後、遠山氏の知人と名乗る人から連絡。
「遠山さんが、警察に捕まった! 泥棒で」

直ぐに岩国に駆けつけました。
彼の事務所にいたのは、彼の知人。



事の成り行きはこうでした。

以前、岩国から島根に抜ける国道筋のドライブインに、彼はインベーダーゲームを販売。
深夜、彼の使用人の未成年の男子と、そのドライブインに侵入。そのゲーム機を二人で盗んだのです。

店主は盗まれた事を彼に連絡をすると、数日後、新たにインベーダーゲーム機を持って来たそうです。
無論、ドライブインはその機器代金も改めて支払いました。

そのニ週間後、またまた深夜、彼等二人はドライブインに侵入。
処が、見張っていた店主に発見され、未成年の男子の方が捕まったのです。


未成年の男子の供述で遠山氏も逮捕されました。
二人の供述により、インベーダーゲーム機を盗んだドライブインは二ヶ所。
他方、懇意な地場大手菓子問屋の倉庫荒らしも白状。



イメージ 2留置所での面談不可。さて、どうするか!
このままでは、代金回収どころか、私の納めた商品まで第三者に押さえられるリスク。
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急遽帰社し、パワーゲート車を確保。
部下の四宮君を乗せて、岩国へ。
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目指すは岩国・錦帯橋の近くの国道2号線沿いの売店
Sクレジットがリース契約を拒否した地主の店。

雲が垂れ下がり、うっすらと国道2号線を煙らす。
薄暗い中、ピカッ!ドッカァ~ン!と雷。飴玉ほどの雨粒が、滝のように落ちてくる。


売店に横付け。この雷雨で無人
「四宮君、これからやる事は君の人生にとって、一生、忘れないことになるだろう」

    つづく