昔も今も贈答品には弱い

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いよいよ今日から西日本、梅雨入りですね。
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国立マンガ喫茶も、今日からいよいよ梅雨に入りました。
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でも、郵政は、既に梅雨に入って久しいですね。
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さて、話を前回(No.147)の社員旅行の二年前、1975年(昭和50年)の春に戻します。
私が、東京支店着任から9ヶ月後の頃ですね。

私の履歴書・148
当時、新卒だけでは人員不足をカバー出来ず。
私がBB課の応援をし、小金井や国立を走り回ったほどでしたからね。

BB課では中途採用の募集をかけまして、二名を採用しました。
その歓迎会を、飯田橋駅東口近くの中国料理店(東天紅?)で行いました。

私 「何もわざわざ遠い飯田橋でやる必要が何処にある!誰だ!そんな所に決めた奴は!」
金魚の糞 「青葉支店長だよ!」

私 「支店長に、何かバックでも入るのか?」
金魚の糞 「水無瀬よ! おまえはそういう言い方をするから支店長に嫌われるのじゃ」

私 「でも、近くになんぼでも良い場所はあるのに」
金魚の糞 「支店長の家族のお気に入りの店だよ。支店長のことだから想像はつくが」

さて、宴会場での新人の内の一人は、前職が営業マン。舞台で踊るや歌うやらで大騒ぎ。
もう一人の新人は千葉県人でおとなしくじっとしているのみ。

お開きになりまして外に出て薄暗い目白通りを歩き出しました。
後ろから、おとなしい方の新人がついて来ます。餅屋君(仮称 当時31歳)です。並んで歩きました。

「僕、営業は初めてです。何をどうしたら良いのか分からなくて」
朴訥(ぼくとつ)な話し方でしたね。脳回路が弱いじゃないかと思いました。

「前は何をしていたのですか?」
「高校卒業後、自宅を店舗にして好きな写真のDPEをしていたのです。でも夫婦で飯が食えなくなって!」


「どうしたら良いでしょうか。私は人と話をするのが苦手なのです」
更に「もう一人の人、あの人は営業プロ。あの人には及びそうもないし」
「あの人は、恐らく直ぐに会社を辞めるでしょう」

「どうしてですか?」
「入社初日であそこまで騒げるとは大した男。でも、多分、前の会社では酒で失敗したでしょう。近いうちにここでも酒で問題を起すでしょうから」

さてさて、ここは私も男。わざわざ私を追っかけて来ての相談ですからね。
そのお返しに、取って置き(?)のノウハウを教えました。

「人は、贈り物に弱い。社会的地位が高ければ高いほど弱い」
「どうしたら良いのですか」

「誰でも年に二回のチャンスがある。お盆の中元。暮れの歳暮」
「まさか、突然贈ったら受け取ってはくれないでしょう」

「君がお世話になっていると思っている人だったら、すんなり受け取るよ」
「大丈夫でしょうか」
「その言葉は、やってみてから言って下さいな。但し、普通の人の贈り物より高い物ですよ」


案の定、芸達者な方は接待の席上問題を起し、一ヶ月弱で会社を去りました。
餅屋君は、地元の千葉の商業組合を担当。

中元の時季に、餅屋君が報告に来ました。
「お中元、商業組合の会長宅に持って行きましたら受け取ってくれました」


ほぼ同じ時期に、菊田さん(仮称 当時40歳)が途中入社。
前職が呉服屋勤務。この人は流石でしたね。女性の扱い方が実に上手い。

練馬・板橋商業組合の婦人部の絶賛を得まして数字を挙げました。
婦人部の申し入れにより青葉支店長は、BB課を三つの課に分け一年半で主任→課長に昇進させました。

この頃は新卒や関西からの転勤者でBB課は一気に増員。
ただでさえトッパな高山課長では無理。三つの課に分けて当然でもありました。

第一課長がトッパ高山課長。第二課長が関西から転勤したきた清水課長。第三課長が小母さん泣かせの菊田課長。

話し方がとろい餅屋君は、この第三課の菊田課長の配下となりました。
「新卒を育成する為、餅屋君を主任にして欲しい」との菊田課長の要望。間も無く餅屋君が異例の主任に。

それから1年程して、菊田課長は突然辞職。他の会社に引き抜かれたのです。
余談ですが、更に一年後、菊田さんは、東武東上線和光市駅前通りのスーパー店頭で、靴下の叩き売りをしていましたね。

菊田課長の後任として、青葉支店長が強引に餅屋主任を課長代理に据えました。
この昇進も異例。



それから十数年後の社内パーテーの席上。
金魚の糞と餅屋君との三人で偶々昔話。

「もっちゃん(餅屋君)、子供は出来たのか?」
「もう諦めた!」
「頭の毛が薄いのに種も薄いなんて、聞いた事がないよ」


「処でもっちゃん、君はあの頃、異常な速さで出世したね」
「実力ですよ」

「バカ言え! 盆暮れの付け届けの成果じゃろが」
「ばれたか」

「当時、何ぼの物を贈ったのかい?」
「ボーナス全額」

「全額も?」
「ボーナスは余禄で、最初から無いものと思っていたからね」

「全額を青葉支店長に?」
「あの頃、贈ったのは三人。千葉の商業組合の会長と青葉支店長と社長」

「ボーナス、年間五ヶ月以上はあったろう。それを全額!」
「最初、バカ高いナポレオンを持っていったら、皆、目を丸くしていたよ」
                              流石!