社内権力闘争の具にされて

私の履歴書・110

《想定外の私の受注》

イメージ 1二度目の四国出張報告書を提出しました。
この一ヶ月弱、同僚二人は何等の成果も無かったようでしたね。
.
私の提出した契約書を上司の山村部長が見て目を丸くしました。
.
この金額の契約でしたら、アプローチから成約までは短くても半年。
1年以上が普通でしたね。それが初回訪問で即時契約。

ここで第一関門に遭遇しました。この金額になりますと事前に契約稟議書(りんぎしょ)を提出して決済を受けてからお客さんと調印と言うのが社内規定。

佐山取締役営業本部長(仮称)と我が上司山村部長がこれですったもんだ。

   注)契約稟議書とは、ある一定金額以上の契約の場合、重役等の契約許可決済の承認を求める書類。

佐山営業本部長は、スーパーマーケット業界への参入を狙って直轄の組織を抱えていましたからね。
苦労していましたから尚更他の部署の参入には抵抗。

それに、佐山営業本部長は前社長の会長派。
反して、山村部長は現社長派。D大学出身同士の激しい代理権力闘争でしたね。

「水無瀬君、君はこの件に関しては今後一切ノータッチ!」と山村部長から厳命されました。


佐山営業本部長のクレーム。「契約先は、果たして信用できるのか?」
即刻、興信所調査をかけるも全く問題なしの評価A。

次は取引条件のクレーム。「手付け金三分の一では、資金負担がかかる」
そこで山村部長が相手先に電話をして、「着手時、半額現金」に支払い条件を変更。

次が「粗利率が低い!」とのいちゃもん。

それもクリアーしていると分かったら振り出しに戻って「社内規定に反している!事前に契約稟議書で契約許可をとっていなかったから認める訳にいかない」と。

百人ほどいた事務所内での二人の怒鳴りあう声! 殴り合いになるかと思いました。
最後に佐山営業本部長は取締役という権力でもって我が上司を屈服させました。

つまり、私の契約した470万円の契約はキャンセルという事態へ。

契約相手の徳島の店主は怒りましたね。ペイペイの私は、じっと見守るしかありませんでした。
まさか、権力闘争の具となるとは思いもしなかったですね。



         ★       ★       ★

梅が満開の頃の余談。

《郵便局印の捏造事件》

隣席は全国の支店営業所を統括する部署で、我等の数人の部署と違いまして数十人いました。

或る日突然、未来は取締役かと期待されていた統括部署の吉安主任(仮称26歳)と部下二人が会社を首になりました。

事の起こりは、吉安主任の奥さんが、主人の上司吉田課長(仮称)に泣き付いた事です。

「主人は毎夜祇園で飲んで帰宅が遅い! 毎夜祇園通いするなんて、そんな給料は貰っていないのに! 主人に女が出来たようだ!」

この奥さん、かっては吉田課長の部下だったのです。
社内結婚ですね。仲人は吉田課長。結婚を機に奥さんは退職。

仲人の吉田課長は隠密に自部署の若い社員達に聞き取り調査をしました。
数ヶ月間祇園で使った金額は、驚くものでした。


顛末(てんまつ)はこうでした。
この統括部署は、毎月二度、往復はがきのDMを発送しているのです。

大きなダンボール箱の中はアルバイトに宛名書きさせた往復はがき。
それがいつも何箱も。郵便局から一回発送するのは二万通から五万通。

彼等は、出入りの判子屋に依頼して郵便局の長方形ゴム印を作らせたとの事です。

その判子を郵便局に備え付けの白紙の領収書に押印と金額を記入して会社で清算処理。
毎月数十万円の金をネコババして祇園に通っていたのです。

しかし、私、不思議に思いましたね。
果たして出入り業者の判子屋がいとも簡単に郵便局の四角いゴム印の作成を引き受けるのだろうか。

その判子、まともな事に使われるとは考え難い。判子屋も共犯者になりかねない。
不思議な事に、その後も判子屋は依然として出入りしています。

ひょっとして既に郵便局のゴム印は社内の何処かの部署にあったのでは?
私の第六感では、ある大銀行の出向者が以前作らせたもの?