磐手の杜の春
舞台右手前にある石が、「夜啼き石」。
「あま(安満)へいのう~」「あま(安満)へいのう~」と。
それで長田の殿様は、これを元の所へ返しました。
これ以来、この石は「夜啼き石」と呼ばるのだそうです。
舞台です。手前の紅梅は未だつぼみ。
社の木々で日当たりが悪いのでしょうね。
社の木々で日当たりが悪いのでしょうね。
「君にしも 秋を知らせぬ津の国の いわての杜と吾身ともかな」
立て札には、枕詞「磐手の杜」を使った和歌がニ首、書かれていました。
源 頼綱
「しばしとも 磐手の杜の紅葉は 色に出てこそ人をとめけれ」 (夫木和歌集)
「しばしとも 磐手の杜の紅葉は 色に出てこそ人をとめけれ」 (夫木和歌集)
彼のその他の和歌の一つ
「夏山の ならの葉そよぐ夕暮は ことしも秋の心ちこそすれ」 (後拾遺231)
もう一つの書かれている和歌
慈 円(じえん)
「思えども 磐手の杜のほとゝぎす 昔に似たり声になれては」 (拾玉集)
「思えども 磐手の杜のほとゝぎす 昔に似たり声になれては」 (拾玉集)
慈円のその他の和歌の一つ
「野べの露は 色もなくてやこぼれつる 袖より過ぐる荻のうは風」 (新古1338)
この和歌の詠み手の感覚は素晴らしいですね。
野辺の草の露は無色透明でこぼれたのでしょう。私の袖を吹く過ぎていった萩の上風に吹かれて。
実は、泣いていたのでしょうね。涙が赤い袖の上に落ち赤い涙となりました。恋しいあなたを慕って?
実は、泣いていたのでしょうね。涙が赤い袖の上に落ち赤い涙となりました。恋しいあなたを慕って?
舞台から今来た鳥居を見下ろします。
この舞台で、古人はどんな想いでどんな能を舞ったのでしょうか。
この舞台で、古人はどんな想いでどんな能を舞ったのでしょうか。
和歌に親しまないお方でも、その時の情景が、目に浮かぶのではないでしょうか。