走馬灯が見えた瞬間
私の履歴書・68 |
運転手篠山さん、前のめりで必死なのですが絶望的な横顔。
スリップしたまま青信号を通り抜けたら次の信号が赤に変わる。
車のスピードは落ちない。
車のスピードは落ちない。
目の前にはパイプの歩道柵が迫って来る。あれよ!あれよ!と遂に目前。
足元から、ゆっくりと鉄板が裂けて口を開いて来る。
足元から、ゆっくりと鉄板が裂けて口を開いて来る。
その裂け口から、歩道柵のパイプがぬ~っと入って来る。
当に、スローモーションでしたね。瞬時のはずなのに。
当に、スローモーションでしたね。瞬時のはずなのに。
「私は死ぬ!!!」
脚を必死で突っ張りました。
瞬間、現在の私から幼少の私までのカラー映像の走馬灯でしたね。
今流に言えば、スライドショーのフラッシュ版。
今流に言えば、スライドショーのフラッシュ版。
《救急車》
衝突の音は全く聞こえませんでした。この助手席からとにもかくにも逃げようと思いました。
でも、体が動かない。身動きがとれない。
でも、体が動かない。身動きがとれない。
身動きが出来ないはず。運転手の篠山さんの体重は80kg。真ん中に乗っているD大相撲部の主将葉山君の体重は100kg超。衝突の瞬間、Gがかかったこの180kgとドアにはさまれたのが私の腰。
私を脱出させようと何人かが外から助手席のドアを開けようとしました。
開かないですね。つぶれていますからね。運転席側の座席はひっくり返っていますし。
開かないですね。つぶれていますからね。運転席側の座席はひっくり返っていますし。
長いバール三本でようやくドアが開いたのですが、今度は降りられない。
両足が裂けた鉄板にはさまれているのですから。
両足が裂けた鉄板にはさまれているのですから。
その時、厚底で厚手の靴を履いていましたから脚は切り傷だけで済みました。
やがて、誰かが私を抱えて降ろしてくれました。ずり降ろしたのです。
やがて、誰かが私を抱えて降ろしてくれました。ずり降ろしたのです。
歩道に一旦座って立ち上がろうとしました。
でも、何故か立てないのです。
でも、何故か立てないのです。
今度は肩を借りて立ち上がりました。
そして2~3歩進みましたが転倒。右足に力が入らないのです。
そして2~3歩進みましたが転倒。右足に力が入らないのです。
「こりゃ駄目だ!救急車を呼んでくれ!」