その渓谷一帯に、ねぶの花が咲いているではありませんか。
何となく弱々しく、然し、美しく華やかなねぶの花。
直ぐに思い出しました。
芭蕉の俳句を。
「象潟や 雨に西施が ねぶの花」
私も
芭蕉にあやかって一句詠んでみました。
(解説①)梅雨の晴れ間の夕方、
水無瀬川上流の渓谷に、ねぶの花がひそやかに咲いていましたが、
花や葉を閉じようとしています。その内、梅雨が終わると共に消えてしまうのでしょうね。
(解説②)中国の傾国(けいこく)で生まれた美貌の西施。
送り込まれた呉での使命を終え、越に帰るも、はかなくも亡くなってしまいました。
殺されて湖に沈められたのです。
(語句の意味)
渓谷→①(
水無瀬川の)渓谷 ②中国・戦国時代・越の傾国(けいこく)。西施の故郷。
ひそみ→①潜む ②眉をひそめること。ねぶの花や葉は、夕方になると花や葉を閉じますね。 眉をひそめているようです。
西施は癪(しゃく)を患っており、顔をしかめて歩いていたのです。
そのしぐさが美しいので、皆、真似をしましたので「ひそみに倣う」という
故事が生まれました。
つゆ→①梅雨 ②露。はかなく消えること。
06.07.09