子供のモチベーション動因


昨今の夫婦は共稼ぎが多く、その子を育てる夫婦は、子供の教育や躾(しつけ)までも保育園や幼稚園や小学校に頼っているのが現状だ。

昔の大家族の農村社会でも、昨今と同様、夫婦共に農作業で多忙であった。

今との大きな違いは、子供の躾や社会で生きていく規範や知恵を、例えば『むかし、むかし』の物語で、時にはゴツンと叩いて教えたのが爺・婆だ。

昭恵夫人や東大出の財務省官僚達や新潟県知事らの奇行を、或いは、子殺しや子の虐待を鑑みると、今こそ、両親に代わって爺・婆が孫育ての主流に躍り出なければならない時代とは言えないだろうか。

以下は、子供のモチベーションをどう導き出すかの随筆。
両親のみならず、爺・婆も一読しておくと、孫への応対の仕方が変わるかも。

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「なぜ勉強が必要?」子供への模範回答3
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2018年05月12日 11時15分 PRESIDENT Online

この季節、「なぜ勉強をしなければならないのか?」という根源的な問いにハマる中高生が少なくない。そう子供に問われたとき、親としてどう答えればいいのだろうか。(中略)

【1:「秀才煮詰まりタイプ」へのアプローチ法】
ある時、東京大学合格者数ベスト10に入るほどの進学校に通う首都圏の私立中学生にこういう話をされたことがある。

「勉強をやる意味がわからないんです……。学校を辞めたい……」

会社役員である父親にそう告げたところ、その子の父親はこう返したのだそうだ。

「オマエは『駕籠(かご)に乗る人、担ぐ人、そのまた草鞋(わらじ)を作る人』という言葉を知っているか? オマエは車で言えば、どの座席に座りたいのか、よく考えろ」

つまり、その父親は息子にも自分のように運転手付きの車の後部座席に乗る立場の人間になってほしいのだ。そのために偏差値の高い難関大学に行き、優良企業に就職しろという希望を持っているようだった。

いろいろな世の中の矛盾や理不尽に気が付いていく中で、その進学校の中学生は「勉強をやることは当然」と迫ってくる親や学校に強烈な反発心を持ってしまったのだろう。

残念ながら、その後この中学生は不登校に陥り、併設高校へは進学しなかった。父親の落胆ぶりは相当なものだったが、これは“秀才煮詰まり”タイプへの誘導を親が間違えた結果だと筆者は思っている。

■「なぜ勉強が必要か」 こじらせ中学生に効くコトバ

彼らは非常に賢く、また繊細なので、親が功利的な答えを下すより、子供自身にあえて問いかけたほうが「悩み」は解決の方向へと進んでいくと思われる。

例えば、以下のような話をして「君はどう思う?」と問いかけてみるというのはどうだろうか。(中略)

先日、南山大学名古屋市)の前学長で、いまは聖園女学院中学・高校(神奈川県藤沢市)の校長のミカエル・カルマノ神父と面会した際、「人はなぜ勉強しなければならないのでしょう?」と問いかけてみた。神父は次のように答えた。

「勉強は自分の窓を開けるということです。学ぶことで、今まで見ていたものとはまた違う何かを見ることになります。視界を広げるために学ぶのです。(中略)

そして「お父さん(お母さん)はこう思うけど、自分はどう思う?」と、ある意味“対等な関係”での議論をしたほうが秀才煮詰まりタイプの子供の納得感を得やすいのではないか。

すぐには効果が出ないかもしれない。しかし、少なくとも大人の論理・常識によって丸め込もうとするのは逆効果であることは確かだ。

■28歳の救急救命医は中高6年間ずっと最底辺の成績

【2:「勉強以外に夢中」タイプへのアプローチ法】
「勉強する意味がわからない」という子供の中には、部活や趣味などを優先する「勉強以外に夢中」なタイプもいる。

ある進学校での中高6年間のほとんどを自分の趣味(ミリタリー系)に費やしたため、学年の成績順位は常に下位10%だった、という28歳の男性は筆者にこう教えてくれた。

「成績が悪かったのは、学校の定期試験に熱意を持てなかったからです。勉強することの必要性にどうしても納得感が得られませんでした。教師や親から強制されることに反発してしまう性格だったんですね。

ただ、大学受験には必要性を感じたので勉強したって感じです。結局、勉強をする理由を見つけるってことが“受験”や“職業選択”には最も重要なことなのかもしれません。

その理由を見つけるにはまず、(趣味など)やりたいことを自由にできる、多様な環境が必要なのだと思います」

彼は“動機付け”ということを強調したが「必要性」を見いだした彼はその後、医学部に合格し、現在は、大学病院の救急救命医として活躍している。

西原理恵子「大事なのは自分の幸せを人任せにしないこと」こういうタイプは納得しない限りはテコでも動かない。親がいくら何を言おうとも「のれんに腕押し」になる可能性が高い。

それでも「何か言いたい。黙って見ているのは無理」という親には、こういう語りかけを提案してみたい。

ベストセラーになっている漫画家・西原理恵子さんの『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』(角川書店)の中にこんなくだりがある。

「大事なのは自分の幸せを人任せにしないこと。そのためには、ちゃんと自分で稼げるようになること。食いっぱぐれないためには最低限の学歴は確保する」

これを子供に投げかけてみるのはどうだろうか。子供はしばしば親の話を無視する。でも、彼らは聞いていないように見えて、「本当に大事な話」は心にとめている。

「勉強なんか……」と子供が足踏みしてしまっているこの時期、親が本音で「最低限、生きるのにこれが必要!」ということを語ることは意味があると思う。

■子供の心に刺さる「答え」をすべての親が考えてほしい

【3:「無気力系タイプ」へのアプローチ法】
最後は「無気力組」とも言える「勉強=めんどい」タイプに対するアプローチである。

1960年代後半にNHKで「ひょっこりひょうたん島」という人形劇が放映されていた。その劇中歌に「勉強なさい」というものがあった。(中略)

歌の中で子供たちは先生にこう言う。
「『勉強しなさい』と大人は子供に命令する。偉くなるため、金持ちになるため……」

大人からの勉強命令に対し、子供たちは反発しているのだが、それに対して先生が勉強は損得勘定でするものではなく「人間になるためにする」と子供たちを諭す歌詞となっている。

要するに、「勉強=めんどうくさい」とする子供に「人間になるために勉強しろ」と言っているのである。

「無気力のままで過ごすと人間になれない」という説をどう思うか? という親の問いかけに、子供はやはり「無視」を決め込むかもしれないが、この根源的問いを親こそが自分なりに考え、わが子に伝えることも、また大切なことだと思う。

ところで、筆者自身はこの問い(なぜ勉強をしなければならないのか?)に対する答えを探しているところだが、今のところこう思っている。

「“大人”をきちんと楽しめる大人になるため」

もっと子供の心に刺さる、問いの根幹を言い当てる言葉があるような気もする。読者の方はこの問いにどう答えるか、大いに興味が湧くところである。

(エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー 鳥居 りんこ 写真=iStock.com)
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