膀胱がん:結核菌によるがん制御


現行、泌尿器科で行われている膀胱がん治療は、一番儲かる摘出手術。次が毒を以て毒を制す結核菌を使ったBCGでの膀胱洗浄なのだが、何れ、摘出手術へ。

何れの方法でも、膀胱がんは、半年~2年でほぼ再発する。つまり、膀胱がんとは、一人の患者に半年~2年ごとに手術が出来るという金の卵なのだ。

がんとは完治させないことが儲かる仕組みになっている。

今回は、毒を以て毒を制す細菌やウイルスを使ったがん治療方法を紹介する。但し、副作用で身体にかなり無理がかかり、しんどい方法だ。

尚、前回記事『重曹でがんは消える』 (2018/03/03)では、
多くの人にご覧いただいた。

現在、がんの人も、そうでない人も、重曹とメイプルシロップ方式を一度は試しておいて、その結果を体験として知っておくことは、現在、或いは将来、役に立つものと確信する。

さて、本題

Viruses are highly evolved infectious agents – perfect to go after cancer June 10, 2015 9.
ウイルスは高度に進化した感染性病原体であり、がんの治療に最適 2015年6月10日

Infections are a double-edged sword when it comes to cancer. On the one hand, infections are our foes. Several viruses, such as the human papillomavirus, are well known to produce pre-malignant lesions that may lead to the development of tumours. Chronic inflammation, which is sometimes caused by pathogens such as viruses and bacteria, has also been linked to cancer formation.

感染症は、がんになると両刃の剣です。一方で、感染症は私たちの敵です。ヒトパピローマウイルス(註1)のようないくつかのウイルスは、腫瘍の発生を導く可能性がある前悪性病変(註2)を産生することがよく知られています。ウィルスやバクテリアなどの病原体によって時々引き起こされる慢性炎症も、がんの形成に関連しています。

「子宮頸がん」の原因とされるウイルスのこと。HPVは乳頭腫といういわゆるイボのウイルスで150種類以上あり、皮膚につくタイプと粘膜につくタイプがあるる。子宮頸がんの原因になるHPVは粘膜型。

(註2)前悪性病変
高リスク部位(口唇や腹部の舌)の上皮形成異常。角質角化。

But there is another side to the relationship between cancer and infections, in which the latter can mediate tumour regression. This potential for pathogens to be our friends in the fight against cancer was again confirmed recently, when the results of a phase III clinical trial showed encouraging results in melanoma patients. In this study, the patients’ response to treatment was significantly improved when their tumours were injected with a genetically modified virus. But although it has not been well publicised, the idea of using pathogens as an anti-cancer weapon is not new and actually started more than a century ago.

しかし、癌と感染との関係にはもう一つの側面があり、後者(感染)は腫瘍の退化を媒介することができます。がんとの戦いで病原体が私たちの友人になるこの可能性は、フェーズⅢ臨床試験(註3)の結果が悪性黒色腫(註4)患者に有望な結果を示した最近、再び確認されました。

(註3)フェーズⅢ臨床試験
第I相試験(フェーズ I)から第III相試験(フェーズ III)の3段階の試験を通過することで、薬は承認される。発売後に実際にその薬を使用するであろう患者を対象に、有効性の検証や安全性の検討を主な目的として、より大きな規模で行われるのが第III相治験(治療の臨床試験)。

(註4)悪性黒色腫(メラノーマ)
皮膚の悪性腫瘍(皮膚がん)の一種。
ほくろやシミに類似している。

この研究では、腫瘍に遺伝子組み換え病原菌を注射すると、治療に対する患者の反応が有意に改善されました。しかし、それは広く公表されていませんが、病原体を抗がん兵器として使用するという考えは、新しいものではなく、実際には1世紀以上前に開始されていました。

Getting sicker before healing
治癒の前に、より具合が悪くなる
(以下原文省略)

1891年、外科医William B Coleyは、抗癌治療の代替療法を探し始めました。コリーは若い女性患者の右腕の肉腫の癌に屈服し、精神的に打ちのめされたコリーは、彼女が去ってから、もっと良い方法を見つけることに決めました。

彼は古い医療記録に戻り、連鎖球菌によって誘発された皮膚感染症である丹毒を罹患したことのあるがん患者のがんの退行を説明する記録を見出しました。

この新しい視点に興奮し、コリーは連鎖球菌培養物を腫瘍に直接注射することによって1891年に最初の患者を治療しました。

その後、患者は強い熱を発し、死にかけました。しかし彼は生き残り、彼の腫瘍は細菌の攻撃で仕舞いには完全に消えていました。その後、患者の彼は8年間健全でしたが、再発で死亡しました。

その後、コリーは、失敗するリスクが高いにも拘わらず、この方法を使用し幾人かの肉腫患者の治療に試してみました。

その後、技術の安全性を高めるために、彼は熱で殺した連鎖球菌と細菌の別の株のセラチア(註5)の混合物に切り替えました。

(註5)セラチア
グラム陰性桿菌で真正細菌。鞭毛を持ち運動性がある。本菌は、土壌、空気中、水中などに広く分布し、パンなどの食物を汚染(赤変)する例も報告されている。

これらの細菌は、もはや複製して疾患の丹毒を誘発することができなくなりましたが、依然として強力な免疫反応および局所的な炎症を発して維持できました。

私達が今理解しているように、この局所的な炎症及びそれに続く免疫細胞の腫瘍部位への動員は、この成功した療法の重要な要素でした。この方法は、コリーの毒素を生じさせた免疫療法の最初の成功例として今日しばしば挙げられています。

Bacterial anti-cancer therapy
細菌性抗癌療法

膀胱癌は、癌に対して細菌を使用し成功したもう一つの例です。膀胱癌と診断された患者の約70%が筋肉非浸潤癌(註6)を患っており、これは膀胱の内側にある腫瘍の大部分に、尿道経由でアクセス可能であることを意味します。

この場合、軽度の外科手術を行って腫瘍を除去することができますが、残念なことに、再発率はこのタイプのがんでは非常に高く、リスクカテゴリに応じて30〜75%です。(註7)

(註6)筋肉浸潤癌
膀胱癌には以下の3つのタイプがあります。 筋層非浸潤性膀胱癌:腫瘍が粘膜にとどまり筋層には達しないものです。 

イメージ 4

筋層浸潤性膀胱癌:膀胱壁の深部へ浸潤し筋層にまで達するものです。 上皮内癌:上皮内に広がる癌です。悪性度が高く浸潤癌へと変化します。

(註7)再発率リスクカテゴリー30~70%
一度膀胱癌となったら、切除したとしても一時的であり、半年から長くて2年ごとに切除の繰り返しとなる可能性がある。

1976年、カルメット・ゲラン桿菌(結核菌、Bacillus Calmette-Guerin、BCG)の膀胱内注入の保護効果を示唆する最初の論文が出版されました。

BCGは、結核に対するワクチン接種での使用が最もよく知られています。BCGワクチンは、長期間にわたり体内培養によって弱毒化された細菌のウシ(牛)株から作られました。

一般的に、健康な動物およびヒトにおいて結核を誘発することはもはやできませんが、ワクチンはまだ生きた細菌を含みます。 細菌は成長し、膀胱に尿道からカテーテル(管)で注入することができます。

これは、化学療法薬の膀胱点滴注入と比較して、治療後3年後の癌再発の可能性を2倍低下させることが示されています。 

しかしながら、生きた病原体を再び使用することには欠点があり、炎症性膀胱炎やインフルエンザに似た症状などの有害事象の可能性が高い。(注)冒頭でも述べましたが、副作用が問題。

Viruses to the rescue
しかし、細菌は、がんに対して使用できる唯一の微生物ではありません。 一部のウイルスは腫瘍崩壊性の性質(癌細胞に特異的に感染して死滅させる)を有し、さらに研究室で最初から容易に作製でき、容易に遺伝子改変が可能です。

ウイルスは高度に進化したタイプの感染性因子です。 ウイルスが細胞に入ると、そのDNAに遺伝子情報を注入するか、ヘルペスウイルス(註8)の場合はDNAを吹き飛ばします。 細胞はそれ自身のような遺伝情報を使い、それがコード化するウイルスタンパク質を産生します。 

これは、細胞が爆発するまで、細胞が無意識にウイルス粒子をますます多く作り出してしまいます。 新しく作られたウイルスは、次に、隣接する細胞に行き感染することができます。

(註8)ヘルペスウイルス
大抵の人が子供のころ体験がある『水痘』(みずぼうそう)が代表例で、水痘帯状疱疹ウイルスというヘルペスウイルスによって引き起こされる発疹性の病気。

単純ヘルペスウイルス(HSV)は、生物学的、物理化学的、免疫学的差異からHSV-1とHSV-2の2型に分類される。

イメージ 2

初感染後、知覚神経節の神経細胞の核内に遺伝子の形態で潜伏し、HSV-1は顔面、特に口唇に再発し、コールドソア(フィーバーブリスター)と言う。

イメージ 1

HSV-2は下半身、特に性器に再発を繰り返す。しかし、実際は性器ヘルペス初感染の約70%はHSV-1によるが、この場合には再発をきたすことは稀。(日本皮膚科学会

イメージ 3

幸いにも、私たちの細胞は、細胞質へのウイルスの侵入を「感知」し、タンパク質産生を阻止するか、または自殺することによって反応するように進化しました。 これは "プログラムされた細胞死"と呼ばれる緊急に規制された機能であり、ウイルスのさらなる拡散を防ぎます。

興味深いのは、癌はプログラムされた細胞死を受けると同様、悪性細胞が多くの遺伝子の突然変異により、ウイルスから自分自身を守る能力を失うことです。

(私の能力ではこの行の訳が難解)
Their inability to die when they should is actually at the core of their malignancy.
それらが死ぬべき時に死ぬことができないのは、実際に彼らの悪性腫瘍の核心にあるのです。

したがって、ウイルスを使用すると、腫瘍細胞を明確に標的にすることができますが、他方、健康な細胞は無傷です。

最近のフェーズⅢ臨床試験(註3)では、遺伝的に改変された単純ヘルペスウイルス(HSV)であるタリモジェンラパーパレット(T-VEC)(註9)が用いられました。

(註9)タリモジェンラパーパレット(T-VEC)
T-VEC(薬品名:IMLYGIC)は腫瘍融解性を有する遺伝子組み換えのヘルペスウイルス製剤(注射液)で、外科的に完全切除不能なメラノーマ(悪性黒色腫(註4)の治療に用いられる。T-VECは、メラノーマ病変に入ると、がん細胞の中で増殖し、細胞を融解して死に至らしめる。

但し、T-VECによる全生存期間の延長、他の内蔵器官(脳、骨、肝臓など)に転移したメラノーマに対する効果はみられていない。

 臨床試験において頻度の高かったT-VECの有害事象は、疲労感、寒気、発熱、嘔気、感冒様症状、注射部疼痛であった。(注)BCG方式でも、同様な副作用を発する。

又、遺伝子組み替えヘルペスウイルス製剤である故、ヘルペスによるウイルス感染も起こりえる。このようなことから、T-VECは免疫抑制状態または妊婦への投与は禁忌とされている。

(注)これは、1976年BBC結核菌)をカテーテル(管)で尿道から膀胱に注入する方式を、BBCの代わりにヘルペスウイルスを使い注射方式に変更したもので、BBC方式に比較し、特に優れているというものではない。

(以後は、この製薬への今後の期待文なので省略)
(原文)


Contemporary Occupational Carcinogen Exposure and Bladder Cancer: A Systematic Review and Meta-analysis.
現代の職業性発癌物質の暴露と膀胱癌:体系的なレビューとメタ分析。
OBJECTIVE:To profile contemporary risks of occupational BC.
目的:職業上のBCの現代的なリスクを追求する。
CONCLUSIONS AND RELEVANCE: (一部抜粋)
Workers with aromatic amine exposure have the highest incidence, while those exposed to polycyclic aromatic hydrocarbons and heavy metals have the greatest mortality.
芳香族アミン暴露の労働者は最も高い発生率を示し、多環芳香族炭化水素や重金属に暴露された労働者は最も死亡率が高い。

(同様な報告として)
易得膀胱癌的职业 2016年7月12日
研究结果表明,暴露于某些化学物会增加罹患包括膀胱癌在内的多种癌症的风险。
結果は、特定の化学物質への曝露が、膀胱癌を含む複数の癌のリスクを増加させることを示している。


『こたつにはガン予防効果』の続編 2018/2/25(日) 

『積極的にインフルエンザに罹ろう』 2018/2/27(火) 

『がん手術は転移を促進する』 2018/3/1(木) 

(画像)