和食(マクロビオティック)陰陽論


昨日の続編です。
(昨日の記事)『疲れ易い人や子供はごはん(コメ)を食べよ』

100年前 日本人は世界最強の体力を誇る民族であった!その秘密は日本食にあり!日本に滞在した外国人が驚愕したエピソードとは!?

(参考)
昔、農村社会での女性は、尻の大きい程価値があった。
『犯罪や性癖は遺伝する』 2017/5/9(火) 


『世界が認めた和食の知恵』

持田鋼一郎『世界が認めた和食の知恵 マクロビオティック物語』(新潮新書)。

近年、ユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、ホットな「和食」。
低カロリーでヘルシーというイメージから、海外でもブームが続いています。

本書は「和食」と大きくうたっていますが、実際には「マクロビオティック」(註1)についての歴史が書かれています。

(註1)マクロビオティックとは、穀物や野菜、海藻などを中心とする日本の伝統食をベースとした食事を摂ることにより、自然と調和をとりながら、健康な暮らしを実現する考え方です。マクロビオティックの語源は、「マクロビオティック」は、「マクロ=大きな」「ビオ=生命」「ティック=術、学」の3つの言葉からなっています。古代ギリシャ語を語源とした、「自然に即した命のあり方」という意味です。

今でこそ当たり前のように見聞きするようになった「マクロビ」ですが、ここまで浸透するのには、大変な努力と戦いがありました。
本書は食の裏歴史といってもいいほどの物語を見せてくれます。

明治時代に「正食」「食養」を唱えた、石塚左玄
昭和になってそれを継承・発展させた、桜沢如一
そして桜沢の弟子であり、世界に自然食を広げている、久司道夫。

それぞれの時代で食と向き合ってきた彼らは、様々な困難に見舞われながら信念を貫いてきました。

かつて「マクロビ」は、「いかがわしい民間療法」「食事による病気療養を病理学的に解明していない」などと、批判されていました。
「食べ物で病気が治る」などというのは、西洋の医学や栄養学からすれば、理解しがたく、到底受け入れられない内容だったのでしょう。

しかしながら、「マクロビ」は確実に、多くの成果を上げてきました。
肥満や高血圧はもとより、がんやハンセン病エイズまでも治療してきました。
アメリカの少年院や刑務所では、砂糖を減らした食事に変えることにより再犯率を低下させたのです。
本書に描かれる様々な成果は、圧巻の一言で、感動さえ覚えます。

もちろんすべての病気が「マクロビ」によって治るわけではありませんが、少なくとも西洋医学ではお手上げだった病気・症状を治療してきた実績は確かなものです。
今では多くの人々がその効果を認め、「マクロビ」の資料は、米スミソニアン博物館に殿堂入りし、久司道夫氏は「世界が尊敬する日本人100人」にも選ばれています。

体を作っているのが食べ物である以上、「何を食べるか」がいかに大切かというのは当然の話で、
人々がようやくそれを理解してきたということでしょう。

最後に久司氏の言葉を引用しましょう。
人間は季節や気候といった「自然環境」、都会や職業、家族といった人工環境に支配されている、としたあとで、

「さらにこうした環境の一部、空気、音、宇宙線、光、水、食物などを人間は自分の体に取り込んでいる。

この中で人間が自分で選ぶことができるものがあれば、自分の運命を変えることが出来る。それは何か。いうまでもなく食物である。」


マクロビオティックの基本バランス

 『What's Macrobiotic』より
(前段省略)


マクロビオティックでは、①身土不二(暮らす土地の旬のものを食べること)と、
②一物全体(自然の恵を残さず丸ごといただくこと)という2つの原則があります。

身土不二(暮らす土地の旬のものを食べること)
人間も植物も生まれた環境と一体という意味です。例えば、熱帯地域でとれるフルーツには体内の熱を下げる働き、寒い地域でとれる野菜には体内を温める働きがあり、四季のある日本では、季節ごとの旬の食材をとることで、からだのバランスがとれるという考え方です。

一物全体(自然の恵を残さず丸ごといただくこと)
ひとつのものを丸ごと食べる、という意味です。食材そのものは、丸ごとでバランスがとれており、穀物なら精白していない玄米、野菜なら皮や葉にも栄養があり、全てを摂ることでからだのバランスがとれるという考え方です。

マクロビオティックの陰陽バランス

マクロビオティックでは、すべてのものに「陰」と「陽」がある、という考え方があります。
陰性とは遠心力・静かなもの・冷たいもの・水分の多いものなどを指します。
陽性とは求心力・動きのあるもの・熱いもの・水分の少ないものなどを指します。
マクロビオティックではこの陰性と陽性のバランスがとれた状態(中庸)を大切としています。

食材の陰陽バランス

陰性の食材とは上に向かってのび、からだを冷やす作用があり、陽性の食材とは地中に向かってのび、からだを温める作用があると考えられています。旬の食材を例にすると、夏のキュウリ(陰性)は、ほてったからだから熱をとり、冬のゴボウ(陽性)は、冷えたからだを温め、わたしたちのからだのバランスをとる手助けをしてくれます。マクロビオティックでは陰陽どちらにも極端に傾きすぎないほうが良いとされているので、穀物や根菜、豆類などを食材の中心とします。

調理法の陰陽

調理法も陰と陽にわけることができます。
サラダなど冷たいもの火をあまり通さないものは陰性。それに対してシチューのように、温かいもの、じっくり煮込むものは陽性と考えられます。その他にも、下記の調理法の陰陽があります。

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マクロビオティックと自然のバランス

このような食事法は自然環境とのバランスにおいても関わりが深いことです。例えば、暮らす土地でとれた野菜を積極的につかうことは、その野菜が新鮮でからだに良いだけでなく、野菜の物流に伴い排出されるCO2の削減にもつながります。また、いままで捨てていた皮や葉などもおいしく食べられることは、キッチンからでるごみの減少にもつながります。
マクロビオティックとは「自然と調和をとりながら、健康な暮らしを実現する」という考え方です。
これを参考にしてあまりストイックになりすぎずに、あなたに合ったマクロビオティックライフを楽しんでください。