乳がんの原因に高学歴と高所得をプラス


今回掲載した記事は、全米には放射能汚染地域が沢山あり、何れも乳がん発生率は高いのですが、それでは何故にこのカルフォルニア州のマリン郡の一部だけが異常に高い乳がん罹患率なのかを調べるうちに、45歳~64歳の女性住民が多いことに目を向けた調査と結果です。

(前回記事)
将来瀬戸内海沿岸都市では乳癌多発 2016/9/6(火) 

原子力発電所分布図と乳がん発生の分布図は驚くほどぴったりだ。

カルフォルニア州の都市サンフランシスコの北に隣接するマリン郡のサンフランシスコ湾沿いエリアが、全米で最も高い乳ガン発生率であり、その原因について多くの研究者が論文を発表しています。

このエリアでは、原発を含む原子力関連施設が幾つかあり、こういう地形での川岸や海辺では放射能が蓄積しており、その放射線乳がんを引き起こすのです。

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さて、本題

Breast cancer incidence and mortality trends in an affluent population: Marin County, California, USA, 1990–1999

豊かな集団での乳がんの発生率と死亡率の動向:
マリン郡、カリフォルニア州アメリカ、1990年~1999年


Christina A ClarkeEmail author, Sally L Glaser, Dee W West, Rochelle R Ereman, Christine A Erdmann, Janice M Barlow and Margaret R Wrensch
Breast Cancer Research20024:R13
DOI: 10.1186/bcr458©  Clarke et al., licensee BioMed Central Ltd 2002
Received: 21 May 2002Accepted: 9 July 2002Published: 26 July 2002

(原文)

Background
バックグラウンド

Elevated rates of breast cancer in affluent Marin County, California, were first reported in the early 1990s. These rates have since been related to higher regional prevalence of known breast cancer risk factors, including low parity, education, and income. Close surveillance of Marin County breast cancer trends has nevertheless continued, in part because distinctive breast cancer patterns in well-defined populations may inform understanding of breast cancer etiology.

豊かなマリン郡(カリフォルニア)での乳癌の上昇率は、最初に1990年代初頭に報告された。これらの上昇率は、以来、低農業収入、教育、所得を含む既知の乳癌リスク要因の高い地域の有病率に関連している。

それにもかかわらず、マリン郡の乳ガン傾向の綿密な監視を続けている。
それは、部分的に明確に定義された集団における特徴的な乳癌パターンで、乳癌の病因を特定出来るからだ。

Methods
方法
Using the most recent incidence and mortality data available from the California Cancer Registry,we examined rates and trends for 1990–1999 for invasive breast cancer among non-Hispanic, white women in Marin County, in other San Francisco Bay Area counties, and in other urban California counties.  Rates were age adjusted to the 2000 US standard, and temporal changes were evaluated with weighted linear regression.

カリフォルニア州がん登録から最新の発生率と死亡率のデータ利用可能なを使用し、 我々は、マリン郡で、他のサンフランシスコのベイエリアの郡で、そして他のカルフォルニアの郡で、1990から1999までの非ヒスパニック系、白人女性の間での浸潤性乳癌の割合と動向を調査した。

割合は、2000年の米国の標準に調整年齢されたもので、時間的変化は、重み付き線形回帰を用いて評価された。

Results
Marin County breast cancer incidence rates between 1990 and 1999 increased 3.6% per year (95% confidence interval, 1.8–5.5), six times more rapidly than in comparison areas.  The increase was limited to women aged 45–64 years, in whom rates increased at 6.7% per year (95% confidence interval, 3.8–9.6).  Mortality rates did not change significantly in Marin County despite 3–5% yearly declines elsewhere.

結果
1990年から1999年にかけてマリン郡乳癌発生率は、比較領域におけるよりも迅速に、年間3.6%(95%信頼区間、1.8から5.5)、6倍に増加した。

増加は誰に料金は年間6.7%(95%信頼区間、3.8から9.6)で増加し、45から64歳の女性に限定されていた。

死亡率は他の場所で三から五パーセントの年間下落にもかかわらず、マリン郡に有意な変化は認められず。

Conclusion
Patterns of breast cancer incidence and mortality in Marin County are unlike those in other California counties, and they are probably explained by Marin County's unique sociodemographic characteristics. Similar trends may have occurred in other affluent populations for which available data do not permit annual monitoring of cancer occurrence.

マリン郡のの乳がん発生率と死亡率のパターンは、他のカリフォルニア州の郡内とは異なっており、それらはおそらく、マリン郡のユニークな社会人口学的特性によって説明されている。

同様の傾向は、入手可能なデータは、癌発生の年次監視を許されないために、他の豊かな集団で発生した可能性がある。

Keywords
キーワード
breast neoplasms incidence mortality social class white
乳房 腫瘍発生率、死亡率 社会階級 白人

(以下原文省略と要点のみ)

導入

カリフォルニア州の北サンフランシスコ位置のマリン郡は、住民25万人で比較的小さないが、住民一人当たりの収入は米国の平均の200%であり、米国の都市や郡部と区別されている。

そしてマリン郡が最初に注目されたのは、1990年代初期に報告された乳癌の上昇率である。 

メディアは、以降、マリン郡は「世界の乳癌の首都」と表現している。

この乳がんの高い発生率の原因調査が科学的になされてきた。初期の研究では、マリン郡とサンフランシスコベイエリア(SFBA)に住む一般的に教育や所得の高いレベルである白人女性の乳がんの高い上昇率であった。

ここでの乳がんの危険因子は、晩婚出産の子や出産未経験女性の高い有病率によって説明された。マリン郡の45歳から64歳の女性だけに限ると、乳がんの発生率と死亡率は、地域社会や科学者達から懸念されているにも拘わらず高止まりしているので、詳細な監視が継続されている。

米国での乳癌症例の45-55%がそのような所得、生殖要因、及び家族歴などの立証された危険要因によって説明されていると推定されている。

明確に定義された集団における独特の乳がん発生率と死亡率のパターンは、したがって、病因の理解を与えることができる。

このため、継続的な地域がん監視の取り組みの一環として、我々はマリン郡の利用可能な最新の乳がん発生率と死亡率のデータを分析し、カリフォルニア州の他の地域からのものと、これらの率と傾向を比較した。

我々は、さらに白人、非ヒスパニック系の女性に分析を限定した
人種/民族性によって乳がん発生率の著しい変動故に、そして、マリン郡での10年間のアフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系、およびアジア/太平洋諸島の女性の症例数および死亡数の小さな不安定な数字故に。

Rate calculation and statistical considerations
レート計算と統計的な考慮事項
(この項は削除)

結果

発生率の動向
マーリンカウンティーの白人女性の間で浸潤性乳癌の発生率は、過去十年間(図1)、上に明らかに増加傾向を示している。

線形グラフでは、乳癌率は1990年から1999年の間にマリン郡で37%増加したが、カリフォルニアのSFBAや他の都市郡の残りのエリアでは僅か3%増加に留まっていることを示した。

需要なのは、1998年の一年間だけでマリン郡は20%増加したことだ。

(グラフ記号説明)
SFBAとは、マリン郡の残りの部分(アラメダ、コントラコスタ、サンフランシスコ、サンマテオ、サンタクララ郡)、Californiaとは、カリフォルニア州内の他の都市の郡。
白人、非ヒスパニック系女性の乳がん発生率と死亡率の動向。

(図1)
イメージ 1

下記の図2のグラフで分かるようにマリン郡の45歳~64歳層のみに癌が異常発生している。マリン郡を除く他のエリアでは安定しているが、
但し65歳以上の場合、マリン郡でも安定している。

(図2)
イメージ 2
平均年間発生率の比較
2010年までには、マリン郡の乳がん率は、SFBAエリアやカリフォルニアの他のエリアよりも、実質的に高くなり続けた。

※ マリン郡の年齢調整乳がん発症率は直近5年間(1995から1999)では、カリフォルニア州内の都市・郡よりも少なくとも20%以上、他のSFBAエリアよりも28%、他の行政区画を合わせた都市郡よりも38%も高かった。

年齢が45-64歳の女性の場合、マリン郡の平均発生率はSFBAの残りのエリアよりも58%高く、他のカリフォルニア州の都市郡に比べて72%高かった。

死亡率の動向
マリン郡での初期段階の腫瘍の発症は過剰なほど増加したが、他方、乳がんの死亡率は減少したものの、他のエリアの減少よりもゆるやかな減少であった。

乳がんの死亡率は1990年から1999年の間にカリフォルニアの他の部分で年間2〜3%に大幅に減少しましたのに対し、マリン郡の減少率は年間1%未満だった。このマリン郡の変化は、統計的にゼロと有意差はなかった。

マリン郡の女性の5年間の平均(1995から1999)乳がん死亡率は、SFBAと都市カリフォルニア郡の他のエリアで観察されたものより25%高かった。

女性の45歳から64歳の女性の死亡率の場合は、他のSFBAとカリフォルニア郡都市で年間3%から4.5%を減少させたのに対し、マリン郡で年間1.9%増加した。

討論

カリフォルニア州マリン郡の乳がん発生率と死亡率のパターンは、過去10年間、他のエリアで観察されたものから著しく逸脱している。

これらの知見は、この地域社会における乳癌の公衆衛生負担を証明するだけでなく、より高い社会経済的地位と乳癌との間に関連があるとの仮説を醸(かも)し出す可能性がある。

マーリンカウンティーのがん発生率のパターンは、過去に有益でした。
1970 年、子宮内膜がんの高騰発生率は、最終的には、閉経後の女性のエストロゲン(発情ホルモン)療法に関連していた。

マリン郡の高い乳がんの発生率は、既知の乳癌の危険因子を有する女性の高い有病率に対応するそのユニークでかつ均一な社会人口学的特性に起因している。

都市郡の比較的小さい人口のマリン郡の一人当たりの所得は、州および国の中央値よりも約200%高いUS $5万8000で、2000年に米国で最も裕福な郡の一つであった 。

マリン郡は1990 年の場合、一貫して学士の学位を有する成人は少なくとも44%で全国の高学歴率よりも220パーセントも高く、全国で最も高度な教育を受けた集団としてランク付けされている。

また、周囲の郡よりも白人、非ヒスパニック系住民の割合80%も高い。

その高い社会経済的状況に応じて、マリン郡では、他の確立された乳癌の危険因子を有する女性の割合は高い。それにはより低い出産率と遅い年齢出産を含む。

1994年に、マリン郡の白人女性の普通出産の71%は、カリフォルニアの46%に比べて30歳以上の老いた産婦であった。

また、2001年、マリン郡で行われた地域社会の健康調査の一部のRREの未発表データ(2002年)によると、55-64歳の全ての女性の69%及び45歳以上の全ての女性の47%はホルモン補充療法を使用しているとの報告である。但し、これらの数字はこのままの状態では使用できないが。

1990年の国勢調査のデータを使用により、乳がんの発生率が高いエリアでの乳がんリスクに関連する特性とマリン郡の特性との一致した分野での比較を可能にする。

比較の項目は、 白人の人口割合、、都市の状況、農家の生産物価格と生活費との平均比率、平均家計所得、大学の学位を持つ人の割合、労働者階級の職業、および貧困線以下の生活を送って世帯の割合を持つ人の割合である。

面接ベースの情報を使用した別の研究でも、SFBAエリアでの白人女性の間で高い乳がんの発生率は、最初の出産時の年齢、数か月の授乳、初潮年齢、閉経年齢の分布によって説明された。

乳がん発生率と死亡率の全国変動の他の以前の分析では、既知の乳癌の危険因子の分布にほとんどの起因が見つかった。

したがって、マリン郡で観察された過剰発生率のかなりの部分は、より高い乳癌リスクプロフィールを持つ女性のより高い集中によって説明される。

マリン郡の高い乳がん発生率は、1990年~1998年の間に、45歳~64歳女性の高い移入率に起因し、その傾向はその後の10年間も続く。

乳がんの発生率は、正に人種/民族、地理、時間の経過のこれら全体の社会経済的状態と関連している。

1970年代に行われた大規模の全国的な面接ベースの研究では、生殖パターン、更年期の特性、ホルモンの使用、アルコール消費量、ボディマス指数、高さ、および家族歴の乳がんリスク調整であり、収入と教育の関係は考慮されていなかった。

マリン郡の統計では、高い教育を受けたか、裕福な女性の乳がん発生率が高く、これらは「金鉱山でのカナリア」(canary in the gold mine)として機能していた。

Conclusion
結論 (省略)


※ この論文に関して持論があるのですが、後日、時間が取れ次第、記事にします。


(参考)
「牛乳は飲むな 飲ますな その①」 牛乳には女性ホルモンが入っている
「牛乳は飲むな 飲ますな その②」 成人病の元凶は牛乳・乳製品 
牛乳は飲むな 飲ますな  その③」 乳がん自閉症の原因とは!

マンモグラフィー乳がんを作る 2015/12/17(木)