微量な放射線のリスク

 
前回では、例えば、チェルノブイリ放射能は、北半球を覆い、その10年後からの三年間、日本では東北や新潟・栃木で乳癌が多発しましたね。
 
これは、その時の調査が偶々乳癌で、その他の癌の調査がなされていないか、もしくは公表されていないのかのどちらかです。
ヨーロッパ諸国でも、この時期に色々な癌が多発しました。
 
このことは、放射能外部被曝の許容量からすると“なんら健康に影響はない”と言いうるようなものにすぎなくとも、内部被曝においては十分に乳ガンの原因物質になり得たということでしたね。
 
 
このことをいち早く証明したのがイギリスの女医アリス・スチュワート氏です。
 
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以下、彼女の証明概略
 
弱い放射能がまちがいなく有害であるということを膨大な資料で裏付けて反論の余地なく証明したのは、妊婦に対するX線診断が生まれた子供の小児ガンを5割も増加させていることを示した、イギリスの女医アリス・スチュワートである。
 
彼女の最初の論文は1956年である。その簡単な数学モデルに抵抗感を示す学者がかなりあり、その結論がなかなか認められなかったという。1970年代半ばには確乎たる定説となった。

1950年代までイギリスでは、妊婦に対してX線によって骨盤の大きさを測って出産の安全性を確認するというような診断が、ごく、普通に行われていたという。X線写真を撮ってそれで判定するというようなやり方である。

アリス・スチュワートは、母親(妊婦)の安全ではなくて、お腹の中で受精卵から激しく成長しつつある胎児の安全に着目したのである。それが彼女のオリジナルであり、彼女はそのことによって偉大な仕事をすることになる。

スチュワートの基本的な着想は、つぎのようなことである。J.W.ゴフマン『人間と放射能』による。
 
10歳まで健康に育った子供の母親を調べると、妊婦のときX線診断を受けた率は10%であった。10歳までに小児ガンで死んだ子供の母親について同じことを調べると、15%であった。

X線診断と小児ガンが無関係なら、これは同率になるはずだ。
 
したがって、この受診率の“5%”増加はX線診断が小児ガン発症に何らかの割合で影響していることを意味していると考えるべきであろう。

スチュワートの非凡な点は、この着想をつぎのような初等数学で論証し調査数を増やしていったことである。
 
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次は、ドイツ放射線防護協会から:チェルノブイリの経験に基づき、野菜、飲料等についての提言。
 
飲食物を通じた放射性物質の摂取は、原子力災害後、長期間にわたり、身体にもっとも深刻な影響を与え続ける経路となる。
 
日本では、ほうれん草1kg あたり54,000Bq のヨウ素131 が検出されたが、こうしたほうれん草を100g(0.1 ㎏)摂取しただけで、甲状腺の器官線量は次のとおりとなる。

乳児(1 歳未満):甲状腺線量20 ミリシーベルト〔以下 mSv:訳者注〕
幼児(1~2 歳未満):甲状腺線量19.4mSv
子ども(2~7 歳未満):甲状腺線量11.3mSv
子ども(7~12 歳未満):甲状腺線量5.4mSv
青少年(12~17 歳未満):甲状腺線量3.7mSv
大人(17 歳以上):甲状腺線量2.3mSv
 
注)同量を摂取した場合幼児は大人の8倍、7歳未満の子供は大人の5倍被曝する。
 
2001 年のドイツ放射線防護令第47 条によれば、原子力発電所通常稼働時の甲状腺器官線量の限界値は年間0.9mSV であるが、上に述べたような日本のほうれん草をわずか100g 摂取するだけで、すでに何倍もこの限界値を超えることになる。
 
原発事故の場合には、同第49 条によれば、甲状腺線量は150mSv まで許容されるが、これはいわゆる実効線量7.5mSv に相当する。
 
それゆえ日本国内居住者は、当面、汚染の可能性のある*サラダ菜、葉物野菜、薬草・山菜類の摂取を断念することが推奨される。
 
 
以上は、僅かな放射線量でも胎児や子供達の被曝量は想像以上なことを表していますね。
 
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次は、日本の規制値を改めて見てみまと、
 
厚労省 飲食物摂取制限に関する指標 3月17日
 
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恐ろしい規制値ですね。
規制値を一瞬のうち何十倍にも跳ね上げた政府。
もう最初の一月で100mSv/yを超えた子供達がいるとの見解もありましたね。
 
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5月上旬だったと思いますが東京都の水道局に電話をし、「未検出とは変ですね」と問いましたら、「詳細数値はちょっと時間がかかるから、規制値以内かどうかの判断で規制値以下なら未検出と表示しています」という回答でした。
 
改めて申し上げますと、当時の「未検出」と言う意味は、国の決めた規制値(300)以下と言う意味で、検出はされていたのですよ。
 
これは何も東京都の水道水に限らずですよ。
他府県の水道水や野菜なども同様です。
 
 
今日はこれまで。中途半端ですみません。
次は、再度、微量の放射能も浴びたら乳癌のリスクが高まるという話し。
日本全国、何処にいてもです。もう被曝しているのです。