1977年の香港・マカオでの僅かな記憶

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1977年春、肌寒い香港の翌朝。
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曇り。
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早く寝たせいなのか洋ちゃんと私は早く目覚めました。
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昨夜の事が悪夢のように蘇ります。
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しかし、散乱していた床には何も無い。
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確かな傷痕は、テーブルの上に散らばる私の全財産数百円。
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それに、何度広げても空っぽの財布。

(写真は、マカオ・ペンニャ教会)

私の履歴書・142

重い雲が垂れ下がって肌寒い朝。ホテルの前の大きな公園を散歩。
芝生の上ではそこかしこに太極拳。皆、痩せていますから、太極拳の達人に見えましたね。

彼らの内の誰かがこちらを向いただけでビクッ!! その都度ビクッ!
夜の闇の組織から見張られている!!いつ襲われるか!! 

寒いのでただでさえ鳥肌が立つ位なのに、ましてや恐怖。
洋ちゃんとお互いに青ざめた顔で見合いましたね。

朝食はバイキング。

SD社の山田課長..「昨夜のビクトリア・ピークは良かったぜ!!夜景を見下ろしながら呑み放題だから!! わしは*万円のスコッチを何杯飲んだと思う?」

更に.「処で、昨夜、変な女にひっかかたメンバーがいたようだな。午後11時過ぎにホテルに帰ってきたが、ホテルのフロントでは中国人のホステスが大騒ぎ。暴れていたよ。」

更に.「11時半には引き揚げたようだが。あの連中にひっかかった奴もこのホテルに泊まったんだな」

我等.「 --------------(シーン)」
山田課長.「ん~~~? --------------- 」
我等.「(コックリ)」
山田課長は、「馬鹿な奴等だ!」と言わんばかりに眉をひそめて蔑視。

洋ちゃんと私はドキドキ。彼女達が我等のルームを出て行ったのは確か午後9時45分頃。
それから二時間弱もホテルのフロントで騒いでいた事になる。

「洋ちゃん、えらいこっちゃ! あのまま黙って帰ったのじゃなかったんだ!」
「ひょっとして、行く先々で待ち受けているかも!」

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その日は確かマカオ
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マカオに行く船に乗る寸前まで、ピストルを持った男達が追ってくるのじゃないかと冷や冷や。
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更にマカオと言えば、当時有名だったのは香港マフィアと同じくらいマカオマフィア。
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カジノでは、洋ちゃんが、数枚のコインを渡してくれました。
「せっかく来たのだから、水無瀬さん、僅かな金額でも楽しもうよ」

楽しみたいのですが、数枚のコインは一瞬でナッシング。
マカオの事で思い出せたのは、この一瞬だけですね。

何に賭けたのかも分かりません。
無論、カジノの建物やカジノの中の様子等は思い出せません。

これですから、当然にサン・パウロ天主堂跡やペンニャ教会からの風景など記憶に有るはずはありません。
写真を見ても、どうしても思い出せないですね。

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それ以降、マカオでも香港でも、思い出せるのは、辛い辛い食事の時の一瞬の状況。
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昼食も夕食も中国料理(どうやら広東料理)ですから、魚介類であろうと肉類であろうと。油と火を使います。
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刺身・わさび・醤油の大好きな私にとっては、ウーロン茶やジャスミン茶ぐらいでは口の中がすっきりしない。


それに中国料理は胃の中でも依然と落ち着かない。
どうしてもビールを欲しくなります。

円卓の隣の席では、SD社の山田課長がビールをオーダーします。
そのビールを注いでくれるのをじっと待つのです。

最初にコップに一杯は注いでくれます。
それをチビチビ飲んで、再度注いでくれるのを待つのですが、なかなか注いでくれません。

最悪は、彼等と円卓が別になった場合。一滴も口に出来ません。
こういう時程、ビールを欲しくなるもの。渇望って苦しいことですね。

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ですから、ジャンボ水上レストランでの食事の記憶と言えば、誰かが注いでくれるのを今か今かと待つテーブルの上の空のコップのみ。

料理や室内装飾やドデカイ外観等は、一切記憶に無いのですから。

注)ジャンボ水上レストラン →珍宝海鲜舫・1976年建造・九龍アバディーン港に係船・2300人収容

即ち、香港の観光地で定かに記憶にあるのは、初日の映画「慕情」の舞台,ヴィクトリア・ピークと,タイガーバーム・ガーデン (万金油・虎豹別墅、2000年完全閉鎖) の一部ぐらいなものでしょう。

無論、帰りの飛行機や、羽田からどうやって和光市まで帰ったのかも全く思い出せませんね。
但し、飛行機を降りて直ぐの強烈な印象は、日本人って男も女性も全員皮下脂肪でダブダブの豚に見えました。

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写真は、マカオサン・パウロ(聖ポール)天主堂跡の前にて私達のグループです。
この方たちと三泊四日同行でした。尚、私は二列目の右端です。

追記)お世話になりましたSD社の山田課長は、前列右から三番目です。

                    香港ツアーは、これでおしまい