春夏甲子園・鉄人衣笠の思い出

7月に入りまして、全国高校野球選手権夏の甲子園の各地予選がいよいよ本格化しますね。
甲子園で思い出しますのは、平安高校の衣笠ですね。



《若宮のたこ焼屋》

四十年前(1961年前後)の増井のばあちゃんのたこ焼屋は、平安高校野球部の溜まり場でしたね。
当時、甲子園で活躍中の連中で記憶にあるのは三人。


高校卒業後、広島カープに入団(S40)。鉄人と言われた衣笠祥雄
中日ドラゴンに入団(S43)し、翌年に三番を打った江島巧。
法政大学に入り(S44)、東京六大学で投手として活躍した池田信夫

(訂正)2016.03.27
池田信夫投手の当時は早稲田大学に行くと言っていましたし、六大学で活躍していたから、てっきり早稲田に入学したものと思っていましたら、法政大学だったのですね。訂正しました。


当時、特に印象深いのは、鉄人衣笠ですね。
彼は、ご存知、父はアフリカ系米国人。母、日本人。ハーフ。

たこ焼き屋の常連の平安高校野球部のボス二人は、小上がりで寝転びます。
衣笠を含めたこの連中は、前年の64年(S39)の春と夏の甲子園で何れも準優勝しているのです。


衣笠は、いつも店の入り口のパイプ椅子に学生帽を深くかむり、じっとうつむいて座っています。
衣笠は、小柄。ボスは「きゃつ(衣笠)の手を見ろ!手袋だ!」と小馬鹿にします。

衣笠は、命じられるままに恥ずかし気に両手を皆にかざします。衣笠の両手を見て驚きましたね。
混血特有の手の甲の皮膚の色もさることながら、なんと大きな手!太ぶと節くれの指!

然も、手の平や指は、豆が固まった大きな「いぼ」だらけ。血がにじんでいるのもある。

ボスは、驚く我らを尻目に、更に得意げに衣笠を見下したように言うのです。
「きゃつは、毎夜、素振りを一千回もしてはる!」 更に「その割には打てへん」

昭和40年(1965)、衣笠は、広島カープに入団。その後「鉄人」と言われ連続出場の世界記録達成。
引退後、国民栄誉賞受賞・野球殿堂入り。背番号3は、カープ永久欠番



衣笠が卒業後の平安高校野球部は、江島が親分となり、午後、このたこ焼き屋に来ました。
平日、練習で、街頭ランニングの時に抜け出して来る場合や、試験の時です。

彼等も、無論当時の高校野球の全国的に著名なスター連中。
何しろ、66年春・夏、67年春の三回、連中は甲子園に出場しましたからね。

彼等が来ると、我々暇人は、「どいてやってや」と増井のばあちゃんから隅に追いやられる。
江島は、そんなに練習しなくても打てる超高校スラッガー

本来、天才肌なのだ。67年(S42)ドラフト会議二位で、中日ドラゴンズ入団(S43)。 
だが三番バッターで一時マスコミを賑わしたものの、大した実績も残せずロッテへ移籍。そして退団。 

投手の池田は、早稲田大学野球部で2年の時活躍しましたが、いつの間にか消えてしまいました。


この彼等も、そして我々も、高校時代、せめて衣笠の爪の垢を煎じて飲んでいましたら、全く別の人生を歩んだかもしれませんね。


尚、衣笠をテレビ以外で見かけたのは、それから約20年後、札幌のホテルでですね。
(大通りの札幌後楽園ホテルか中島公園の札幌パークホテル)

伊藤忠商事主催の企業懇話会(北海道伊藤忠会)に、彼が招かれ講演したのです。

壇上から降りて私の二つ隣の席を通り過ぎる時に、私は普通の声の高さで言いました。

「京都のたこ焼屋の増井のばあちゃん!」

かれはそれから十歩ほど通り過ぎてからふと立ち止まり、やおら振り返りましたね。
そして、小手をかざす私の顔をみつめて、にっこり!


何十年経っても、あのばあちゃんのたこ焼屋は、忘れるはずはないですよね。


                  ★

(追記)2013.11.07

別の記事で書いた増井の婆ちゃんに関しての記事を転記します。


《戦時中、中国で商売をしていた増井の婆ちゃんから教わった話》

質素な男と、ぐうたらな男がいた。

質素な男は酒もタバコもやらず、ひたすら貯金に励んだ。
ぐうたらな男は大酒飲みで、空き瓶を縁の下に積み上げていた。

世の中が変わった!

質素な男の貯金は紙切れとなり、明日の米さえなかった!
ぐうたらな男は、空き瓶が高値となり、米と交換し、食うには困らなかった!



                  ★


イメージ 1
写真は1979年(昭和54年)増井のばあちゃん、岡本さん、私の娘(当時四歳)


注)当時の増井のばあちゃんのたこ焼屋の住所
京都市下京区若宮通り正面下る鍵屋町
丁字湯(2004.04.30廃業)の南隣(画像の向こう隣)
(参考)http://www004.upp.so-net.ne.jp/ofuroyasan-teki/kyotoeki3.html#丁字湯
http://www.inorg.net/sentou/shimo/cyoji.htm

イメージ 2



(追記)2016.03.27
丁字湯のオーナーは福井出身。
福井の中学校を卒業したばかりの女の子二人が我ら入浴中、番台や浴槽洗い場の片付けにやってくる。
背は150cmそこそこだが、あどけさが残る真っ白な少女らしいふっくらとした肌。
我らのイチモツを遠慮なく見るのだが、我らに対して警戒心はほどかず。 ヽ(´▽`)/

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