東映スタントマンの大怪我
私の履歴書・78 |
《東映スタントマンのミイラ男》
屋根や崖から落ちたり、絶壁から水中に飛び込んだり、疾走する裸馬から落ちるとか。
大抵が、武士の鎧を身に着けてですから、尋常ではないですね。
大抵が、武士の鎧を身に着けてですから、尋常ではないですね。
その早川さんが退院をして療養中と言うことで、西川君と見舞いに行きました。
ベットに寝ている総元締めの早川さんは、言わばミイラ男。包帯でグルグル巻き。
ベットに寝ている総元締めの早川さんは、言わばミイラ男。包帯でグルグル巻き。
彼の役目は土手道を荷馬車の馬に鎧姿でまたがって疾走。
そこで矢で射られて、馬の後ろに落ち、荷車に巻き込まれるというシーン。
そこで矢で射られて、馬の後ろに落ち、荷車に巻き込まれるというシーン。
落ち方に失敗。荷車の車輪と車輪の間に落ちるつもりが、車輪にひかれてしまう。
あごの骨・肋骨・腰骨それに足を骨折。包帯が大分取れたと言っても依然とミイラ男。
あごの骨・肋骨・腰骨それに足を骨折。包帯が大分取れたと言っても依然とミイラ男。
お見舞いに行ったのですが、クスクス笑ってしまいました。
《スタントマンに挑んだ男》
この西川君が或る日の昼食後、うなぎの寝床の中空の二階で、面玉(メンタマ・あだ名・25歳)君と口論となりました。
ボルテージはどんどん上り不穏な空気。こりゃ、ヤバイ!
そこで私は、西川君に、「手を出したらあかんで!」と。「分かっている。俺からは手は出さん」と彼。
そこで私は、西川君に、「手を出したらあかんで!」と。「分かっている。俺からは手は出さん」と彼。
いきり立ち、今にも殴りかかろうとする面玉君には、「喧嘩をして、到底勝てる相手ではないから手を出したらアカン。怪我だけでは済まんぞ!」と言ったのですが。
面玉君は、背は低いが力持ち。喧嘩が強いと日頃自慢していましたから、私の言葉に、彼のプライドが傷付いたのでしょうね。
この数秒にパンチ二十発弱、足蹴りも二十発弱。手と足が同時。手足の動きが見えないのです。
面玉君は僅か数秒でノックダウン!
面玉君は僅か数秒でノックダウン!
「お~い、バケツに水」と階下に叫ぶと、誰かが持ってきましたね。
畳の上に横たわっている面玉君の顔に、水をザッとかけると、彼は目覚める。
畳の上に横たわっている面玉君の顔に、水をザッとかけると、彼は目覚める。
何があったのかとキョトン。事態を直ぐに呑み込めなかったようでしたね。
顔面は平常で一安心。それを見届けてから、私はその部屋を退散。
顔面は平常で一安心。それを見届けてから、私はその部屋を退散。
午後三時頃、ガレージの方にいましたら、飯炊きのおばさんが飛んで来ました。「西川が、警察に連れていかれた!」と。警察に訴えたのは、面玉君。南病院での全治三週間の診断書を持参して。
急遽、うなぎの寝床へ。なる程、面玉君を見て、私は、笑ってしまいました。
「言っただろう!西川は、君がどんなにしても勝てる相手ではないよ。そもそも、君が先に手を出すから、こうなったんだ!」と25歳の彼を叱りました。
私は、早速、自分の判子を持って、争いの場にいた者と二人で七条署に出かけました。
徒歩七分。歩きながら、二人で打ち合わせ。署に入ると、彼の調書は終わっていました。
徒歩七分。歩きながら、二人で打ち合わせ。署に入ると、彼の調書は終わっていました。
現場の証言として、我等二人の調書が作成されました。
訴えた面玉君の調書には、三十発殴られたと書かれてあるのです。
訴えた面玉君の調書には、三十発殴られたと書かれてあるのです。
私達は「僅か1~2秒で終わったのですよ。そんなに手が出る訳が無い」と。
更に、「寝ている西川君に手を最初に出したのは面玉君ですよ」と付け加えました。
更に、「寝ている西川君に手を最初に出したのは面玉君ですよ」と付け加えました。
ほぼ、同じ内容で、私の分ともう一人の調書二通が作成されました。
全治三週間の診断書に関しては、「被害者は、ダニに刺されただけで腫れあがる特殊な体質で、そもそも、日頃から顔は腫れていた」と付け加えました。
全治三週間の診断書に関しては、「被害者は、ダニに刺されただけで腫れあがる特殊な体質で、そもそも、日頃から顔は腫れていた」と付け加えました。
何せ、当時、一発につき罰金5万円。三十発だったら150万円。払える訳が無いですね。
警官は、にやりと笑いながら二発と記入し、それに私が署名捺印。我等二人共、同じ証言なので、殴ったのは二発と決定しました。
警官は、にやりと笑いながら二発と記入し、それに私が署名捺印。我等二人共、同じ証言なので、殴ったのは二発と決定しました。
私と西川君は、顔を見合わせて笑いましたね。
後日、罰金がきました。確か、十二万円でしたね。
後日、罰金がきました。確か、十二万円でしたね。
追記)実は、この二人が口論したのは16歳のお手伝いの事ででした。
どうやらお互いにこのお手伝いを好きのようでしたね。
どうやらお互いにこのお手伝いを好きのようでしたね。
このお手伝いに西川君が付けたあだ名は「ガバチョ」
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ガバチョは、顔・背・体形が吉本興業の山田花子にそっくり。
但し、花ちゃんより口が遙かに大きい。カバのように。
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NHK・ひょっこりひょうたん島のドンカバチョのカバチョだけを頂いたあだ名、