試験三日目、力尽きる
私の履歴書・56 |
間断なく、背筋に電気のような冷気が走る。
目を開けてはいられない。開けたらめまい。
目を開けてはいられない。開けたらめまい。
目を閉じ、時間の経過をただじっと待つのみ。
吊り革の隣の人の眼差し。恐らく、私は蒼白。
吊り革の隣の人の眼差し。恐らく、私は蒼白。
理学部高分子の受験教室は、一番奥。
駅から徒歩25分の所。
駅から徒歩25分の所。
自分の席に着いたのが9時に10分前。
徒歩で45分かかった。
徒歩で45分かかった。
問題用紙に受験番号と名前を書いて、数分待つ。
「始め!」の号令。
「始め!」の号令。
問題を見る。字は見えるが読めない。
脳味噌から血が抜けて、空の毛細血管に神経が走る。
頭がピリピリ。
脳味噌から血が抜けて、空の毛細血管に神経が走る。
頭がピリピリ。
挙手。「トイレに行かせて下さい」
トイレの中。ふらつく。立っていられない。
トイレの中。ふらつく。立っていられない。
たまらず「金隠し」に構える。腰を落とせる。
この状態なら倒れないですむ。
この状態なら倒れないですむ。
両手を握り合わせ、目を閉じた。
「神よ!我の脳を正常に戻し給え!」
「神よ!我の脳を正常に戻し給え!」
祈ったまま30分経過。脳に血が流れ出したのを覚える。
これなら何とかなる。立ち上がるも、足がしびれている。
これなら何とかなる。立ち上がるも、足がしびれている。
ちんばになりながらも会場の中を歩む。
何故か、顔がスースーする。
何故か、顔がスースーする。
自分の席に着く。
冴えてくる。
神は私を見捨てなかった。
冴えてくる。
神は私を見捨てなかった。
夜は相変わらず発熱と発汗。次の夜も。
最後の三日目、確か、物理と化学の試験。
公式さえ思い出せない。
公式さえ思い出せない。