葉っぱが描く似顔絵

水無瀬川と桂川の合流地点の近く、もう、帰ろうとしていた時です。
こちらを見て、緑の両手を挙げ、バンザ～イ！！をしている葉っぱさんがいましたよ。

山芋の葉っぱさんなのですね。殊更暑くなったこの日、初夏の喜びで一杯ですね。

「写真を撮ってあげましょう！」とファインダーを覗きました。

心地よい川風が、するり！！

「もっと左に移動してよ！」と山芋の葉っぱさんは、緑の左手を揺らします。
「よしよし」とカメラを構えたまゝ、左にすり足でそろりそろり。

「そこ！そこ！そこです！」と風でうなずく葉っぱさん。

私「あれっ？？葉っぱ子さんの両手と思ったのは、実はお目めだったのですね。
それにしても、そのお目めは、若き日の司葉子さんですかな？」

葉っぱさん「大阪万博会場の『太陽の塔』と言って欲しかったょ」　
私「それよりも、孫娘が、保育園で書く爺の似顔絵では、賢そうなあなたに失礼ですかね？」

葉っぱさん「よくぞ言ってくれました！仲間のツルは、皆、左巻き。私だけが右巻きなのよ」

その時、ピタリ！と風が止んで、葉っぱさんは穏やかな笑顔に戻りました。

パチリ！！

撮ったとたん、「フュッ！」と風！
葉っぱさんは、全身を左右前後に揺らして、私に「さよなら！」をしてくれましたよ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おしまい