スポーツ自転車に運転免許制度を


(序)
自民党谷垣禎一前幹事長というと自転車歴50年で自転車関連の議員連盟やサイクリング団体の会長を長年務め、業界のリーダーであった。

その彼がロードバイクで転倒し、頸髄(けいずい)損傷の重傷を負い、終には政界引退となるも、自転車業界のみならず行政も何らの動きをもしようとしていない。

(本文)
夕方、住宅地の交差点や電車の土手沿いの道の交差点では、止まれの標識があるにも拘わらず、必ずと言っていいほどノンストップで横切るスポーツタイプの恐らく通勤の自転車にヒヤリとする。そして宵闇になると今度は無灯火自転車だ。

同じ無灯火でもよたよたに走るお婆さんのママチャリや後ろの籠にワンコを乗せた爺さんのママチャリは、動きが遅いから未だマシだ。

問題は、スポーツタイプの自転車だ。バッテリーや乾電池の消耗を防ぐために前照灯を消して走るから見えない。

それに何しろこのスポーツタイプの路地や狭い道路を走る自転車のスピードは想像を超えている。

日中であろうが夜間であろうが、ピュンと走る。
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この時速、何と40kmから60kmだという。NHK・BS番組「こころ旅」での火野正平が走るスピードも約40kmだ。

(Q)ロードバイクでも速度40キロはなかなか出せませんし、その速度を持続できる人はめったにいません。
(A)普通の自転車で時速20km出せる人は、スポーツタイプの自転車では軽く40kmで走れるそうです。特に大型トラックの後ろでは、風の抵抗が少ないから時速60kmで楽に走れるそうです。

(Q)火野さんはゆっくりなので普段は出ても20キロぐらいじゃないかな。40キロぐらい出るのは人生くだり坂最高といってるときぐらい
(A)仰る通り、普段は20kmほどです。但し、いつだったか自慢げに時速38kmのメーターをかざしていました。長い下りの時は、40kmを超えているのではないでしょうか。

然し、彼らはスピード違反で捕まることはない。何しろ、普通自動車やオートバイと同じく公道なら時速60kmまで走れるからだ。

(Q)法律的なスピード制限は自転車には基本的にありません。制限速度のない道路なら自動車は制限60キロですが自転車は仮に時速100キロでも違反にはなりません。ただし、40キロ制限とか50キロ制限とかあるなら、その制限が自転車の制限になります。つまり道路の制限が自転車の制限ということです。
(A)自転車に速度制限が無いとは初めて知りました。都市部の狭い公道や地方の国道・県道には速度標識の無いケースが多いから速度無制限ということですね。

普通自動車やバイクには運転免許証が必要だが、スポーツタイプの自転車には運転免許制度がない。

これが同じ道を同じスピードで走らせること自体、日本の道路交通法に問題がある。

更なる問題点は、何らかの事故が起きた場合、怪我や死亡した方が道路交通法に違反していても『善』で、その相手が無過失であろうが即『悪』で即『加害者』となることである。

これは自動車と自転車の場合に止まらない。自転車と歩行者との関係でも、怪我をした方が『善』で、その相手が即『悪』で即『加害者』となる。

先ずはスポーツタイプ自転車に運転免許制度を導入することである。これにより、スポーツタイプのみならず、ママチャリにも道路交通法を遵守しなければならないという国民的認識を植え付けることが出来る。

現行のままでは、無法・違法な自転車が怪我する『弱者』として大手を振って飛ばし、事故原因や事故誘発を繰り返すのみだ。

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(注目記事)

「ながらスマホ自転車」で老女を死なせた女子大生「裁判と就活」どうなる?

2017年12月18日 6時0分 デイリー新潮

抜粋1)例えば福岡市では2008年、自転車と衝突したオートバイの男性(当時43)が他の車に轢かれて死亡した事故が起きている。自転車が信号のない交差点で左右を確認せず直進したのが原因で、自転車を運転していた当時20代の男性は重過失致死罪で起訴された。翌09年9月に福岡地裁は禁固1年・執行猶予3年(求刑禁固1年4カ月)の判決を下している。

抜粋2)13年7月には男子小学生が自転車で60代の女性をはね、重い後遺症を負わせたとして神戸地裁が保護者に約9500万円の賠償を命じている。

抜粋3)産経新聞の報道によると、奈良市の無職男性(当時61)は12年5月、自転車を運転中にバイクと接触。バイクの男性が骨折の重傷を負ったにもかかわらず、その場から逃走。男性は後に出頭したが、重過失傷害と、ひき逃げの道交法違反の疑いで書類送検され、運転免許停止150日の処分が下された。

抜粋4)11年には大阪市で自転車が車道に飛び出し、ワゴン車が車線変更を余儀なくされ、そのあおりでタンクローリーが急ハンドルを切って歩道に突入。男性2人がはねられて死亡した。自転車を運転していた男性は、大阪府警に重過失致死容疑で逮捕。裁判で禁錮2年の実刑判決が下り、さらに中型車と二輪車の運転免許停止処分(180日)が下されたという。

週刊新潮WEB取材班
2017年12月18日 掲載