孫が数十人の牧師さん
私の履歴書・88 |
ある日、リュックを背負った三つ年下の石川君(仮称)がアルバイトでやって来ました。
その春に沼津の高校を卒業。大学入試試験に失敗し京都で浪人するためです。
母親は、沼津で屋台の一杯飲み屋をしているのだそうです。
彼は再びリュックを背負い、全国の旅に出かけました。
一年半後、私が化け猫屋敷に住みだして間もない早朝の五時、突然、部屋の襖が開きました。
「旅から帰って来ました」と言って。
「旅から帰って来ました」と言って。
京都駅に早朝着く夜行列車で来たのですね。
それを卸元に買った三倍の値段で売りまして、京都から二人で姿を消しました。
何年後か手紙が来ました。
長野からで牧師をしていると。
長野からで牧師をしていると。
更に何年後、別の街から。子供が三人出来たと。
更に何年後、またまた別の街から。子供が七人になったと。
好きだねェ~!と思いきや、実子は三人で、四人は親の無い子を籍に入れて育てているのだそうです。
確か、彼が故郷の沼津の近くに移って子供が九人になった頃から、音信不通になりました。
私も三年前後で転勤を繰り返していましたし、彼の牧師の職業も転勤があったのですからね。
私も三年前後で転勤を繰り返していましたし、彼の牧師の職業も転勤があったのですからね。
彼を思い出す度、想像する彼を取り巻く子供の数は増えていきましたね。
今、彼のイメージは、数十人の孫に取り囲まれ、ニコニコしている白髪の牧師さんですよ。
今、彼のイメージは、数十人の孫に取り囲まれ、ニコニコしている白髪の牧師さんですよ。